鍼灸治療症例集

このページは、鍼灸治療症例集についてご案内するページです。来院された患者さんの症例やご相談をもとに、東洋医学の観点で解説いたします。

冷え性

Q1 冷え性で寝つきが悪くて困っています。(T.Tさん 30代後半 OL)

事務職をしています。夏になると社内の冷房が強く、膝かけをしても、足元が冷えます。ふとんに入っても、足が冷えているため寝つきが悪く、朝起きても熟睡できたという実感がありません。また、肩こりもきついため、イライラしやすくて困っています。どうしたらいいですか?

A1 スポーツなどの運動が有効です

東洋医学的にいうと、「陽気が停滞した状態」です。わかりやすくいうと、気血の巡りが悪いということです。職場環境が、気血の循環の悪さを増長してます。事務職のため、からだを動かす機会が少なく、冷房が強い環境であるため、下半身の血管が収縮し、血液の循環が滞っている状態です。

Tさんのようにデスクワーク中心のかた全般にいえることですが、気血の停滞を改善するための運動を実践することが、冷え性などの症状を改善する妙薬といえましょう。

体を動かすことがお好きであれば、スポーツを実践して汗を流してください。スポーツジムに通うのもいいかもしれません。

お金をかけず、手軽にできる運動として、「散歩」をお勧めいたします。今はやりの「ウォーキング」でもいいですが、心を穏やかにする「逍遥(お散歩)」もお試しください。

その他、足湯をしてから寝るのも有効でしょう。

T.Tさんのその後の経過

T.Tさんは、遠方にお住まいのため、直接鍼灸治療をする機会はありませんでした。アドバイスののち、週2〜3回スポーツクラブに通うようになり、肩こり、冷え性は緩解したそうです。日頃の生活習慣を見直すだけでも大分違うということの証明だと思います。実際には、日常生活を見直すというのはなかなか難しいことですが・・・・・・

「冷え性」の東洋医学的見解

運動不足による血流の循環不良といったように、原因が明らかな場合、運動や足湯をすることで、冷え性を改善をすることは可能です。しかし、複合的な要因を有している場合、必ずしも運動をするだけで、改善できるわけではありません。

ここで、簡単に、東洋医学による見解をお話しましょう。東洋医学的には冷え性を「手足ケツ冷」といい、以下の6つに分類されます。

冷え性の分類
分 類状 態
陽虚によるもの脾や腎などの臓腑の機能が衰えたため、陽気が不足し手足を温めることが出来ないもの。
熱邪が内にこもる為のものカゼなどで熱が出てその熱が内にこもるもの。通常の冷え性とはちょっと違いますね。
陽気が停滞する為のもの肝などの機能失調により陽気が停滞するもの。
血虚のところに寒邪をうける為のもの血虚体質のものが寒邪を受けて(冷えること)血脈の運行が阻害されおこるもの。
痰濁によるもの身体のなかの湿痰(身体のなかの水が溜まってできた病理産物)が多いため手足が冷えるもの。
回虫によるもの日本ではこのタイプまず無いと思いますが・・・・・・

T.Tさんは、「陽気が停滞したタイプ」

T.Tさんは、6つの分類でいうと、3番目の「陽気が停滞したタイプ」でした。このタイプのかたの場合、運動などにより陽気を巡らすことで、良い結果を得ることができます。漢方薬なら四逆散などが適応します。合谷というツボを軽く揉むのも有効です。三陰交にお灸するのもいいでしょう。

しかし、冷え性といっても、東洋医学的にいろいろなタイプがありますし、それらが複合して起こる場合もありますので、鍼灸や漢方など、それぞれの専門の先生に相談されたほうが良いでしょう。

冷え性に効果的なツボ(陽気が停滞したタイプの場合)
ツボの名前ツボの場所ツボの図
合谷(ごうこく)親指と人差し指との手の背側の指のまたで、2本の骨の間を押してみて痛むところ。合谷
三陰交(さんいんこう)足の内くるぶしの上際から指4本分上方にある。脛骨(すねの骨)の内縁を探ると、骨の際にくぼみがあり、指が止まるところ。三陰交

参考文献:『症状による中医診断と治療』燎原書店

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