コラム

このページは、コラムを紹介するコーナーです。医食同源・薬膳・食養生に結びつく食材のご紹介や漢方の銭湯・足湯など、東洋医学、漢方、健康に結びつくトピックを中心にお届けいたします。

東洋医学コラム

2006年7月〜8月の「院長の独り言」

『病の世相史』(2006年7月)

病いの世相史―江戸の医療事情先日友人に貸していた本が戻ってきました。

本のタイトルは『病いの世相史―江戸の医療事情』田中圭一 ちくま新書。

著者の田中圭一さんは柴田収蔵という幕末の村医者の日記を翻刻などされている人です。

この本を読むことによって江戸時代の医療文化がどのようなものだったか良く解かります。

例えば江戸時代のお百姓さんは意外にも頻繁に医者にかかっていたんだそうです。

私達の一般的なイメージでは江戸時代は医者の数も少なく一般の庶民はなかなか医者にかかれなかったように思われますが江戸時代の医者の数は多く庶民はよく医者に診てもっらっていたんだそうです。

また人々は薬草を煎じてお茶として飲用して病気の予防に役立て、朝夕に身体にお灸をすえて健康の維持に努めるなど自分自身でも健康に気を付けていました。

信長で有名な敦盛のなかで「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢まぼろしのごとくなり 」というのがありますが、昔の人の寿命は五十歳ほどの短命だとに思われていますが実際は50才を越えて生きた人の数はかなり多かったようです。

そういえば戦国大名の北条早雲は87歳まで生きたんですよね。

一般には江戸時代は無知蒙昧で明治維新による文明開化によりやっと我々は正しい知識を得ることができたとされています。

手塚治虫先生の『陽だまりの樹』にも西洋医学の蘭方医は正義の味方で漢方医は悪役で出てきます。しかし必ずしもそうでない部分もあるのではないでしょうか。

ちょっと脱線しますが、明治時代に脚気相撲と呼ばれるものがありました。

西洋医学を医学の中心にすえようとしていた明治政府が(この当時ドイツ式の軍隊を導入しそれとセットで戦争による負傷に対する外科手術がすぐれているドイツ医学を取り入れました。)政府公認で西洋医学と東洋医学が脚気に対して治療成績を競うというものでした。

報告書を読むと西洋医学のほうが若干良い治療成績になっていますが、報告書が出されたのは脚気病院がスタートしてから3年後にようやく発表されるなどいくつか疑惑があります。

おそらく明治政府の意図したとおりにならなかった為でしょう、その後脚気相撲はうやむやになってしまいました。

この当時西洋医学では脚気の原因が解かっておらず(当時は脚気は細菌によるものと考えられていました)、東洋医学は原因が解からなくても(東洋医学は身体のバランスを整える治療の為)治療でき食養生も含めた東洋医学が一般的には優勢でした。

近年、昔のものであっても良いものは生かしていこうという潮流も生まれていますが、伝統の良さを再認識することは大切なことだと私は思います。

ビールのもと大麦麦芽(2006年8月)

夏はビールが美味しい季節ですね。 札幌でもいま大通公園などでビアガーデンが開催されています。

ご存知の通りビールは大麦の麦芽汁にホップを加えそれを発酵させてできます。 このビールの原材料である大麦の麦芽の東洋医学的な意味を簡単にですがちょっと述べてみたいと思います。

大麦の麦芽の東洋医学的働き。

1.健脾開胃(けんぴかいい)・行気消食(こうきしょうしょく) 食べ過ぎたときなどに胃腸の働きを高め消化を助ける働きがあります。

2.舒肝(じょかん) 肝臓の働きをよくして気の流れをのびやかにする。

3.回乳(かいにゅう) 乳汁が欝滞して乳房が張って痛んだり、授乳を中止する場合に用います。

以上が大麦麦芽の東洋医学的な主な働きです。

麦芽に消化を助ける働きがあるというのも面白いですね。 ということはビールに加工されても消化を助ける働きはある程度あるわけです。 だからといって食べすぎ飲みすぎにはくれぐれも御注意を!

小麦(2006年8月)

前回は大麦についてでしたが、今回は小麦についてです。

小麦は漢方では「しょうばく」と呼び、精神不安やヒステリーのときに使われる甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)という漢方薬などに使われます。

中国・明の時代の『本草綱目』によると小麦は「心気を養い、心病はこれを食すによろし」と書かれています。その他の効能には咽の渇きを止め、小便の通りをよくし、肝気を養い、女性は妊娠しやすくする働きなどがあります。

また漢方薬として使うには南方産より北方産のほうが良く、皮のほうにも薬効があるので全体を使います。

大麦と小麦、漢方では効能が全然違うんです。

稲(2006年8月)

今回は稲つまりお米についてです。

中国・明の時代の『本草綱目』によると稲には補中益気(ほちゅうえっき、気を補う)や下痢を止める働きがあるとされています。

その他には脾胃を暖め小便をみじかくし、自汗(じかん、何もしていないのにだらだら出る汗)を止める働き、気のめぐりをよくするなどの働きもあります。 また米には熱を多く発生し便を堅くする面もあります。

漢方薬としては稲の発芽(穀芽、こくが)を健脾開胃(けんひかいい)・消食和中(しょうしょくわちゅう)の目的で、つまり脾胃虚弱、食欲不振、味が無い、腹満などの症状に用いられます。

穀物は我々が生きていくなかで大変大事なものです。

東洋医学では麦や米のほか、黍(きび)や稗(ひえ)や豆の五つを合わせて五穀とし、食べ物のなかでも重要なものとして位置づけています。

稗(ひえ)・粟(あわ)(2006年8月)

今回は粟(あわ)と稗(ひえ)についてです。

中国・明の時代の本草綱目によると、粟(あわ)は腎気を養い、脾胃の熱を取り、気を益し、咽の渇きを取り、小便の出をよくする働きなどがあります。

稗(ひえ)は気を益し、脾をよくする働きなどがあります。また稗の苗根には怪我などによる出血を止める働きなどもあります。

現代では稗(ひえ)や粟(あわ)を食することはあまりありませんが、昔は五穀(稲・麦・粟・稗・豆)を食していました。

今でも神社などで五穀豊穣の祈願をされたりしますよね。

ちなみに、五穀は通常は稲・麦・粟・稗・豆の五つとされますが麻(あさ)や黍(きび)を入れた別説もあります。

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