「院長の独り言」ジャンル別
「院長の独り言」ジャンル別~2026年~2028年に紹介した書籍~
鍼灸・東洋医学・医療関連書籍
鍼灸・東洋医学・医療関連書籍
『西太后の不老術』(宮原桂著、新潮社)(2026年4月)
本書は、清朝の宮中で使われた処方から西太后などがどんな漢方薬を服用していたかを探ったもので、面白かったです。
乾隆帝は参麦飲(人参と麦門冬からなる)を最もよく服用していたとか、西太后が亡くなる前一番最後に使われた漢方は生脈散だったとか面白かったです。
また、皇帝たち(西太后も含めて)は、キン化人参といって高麗人参の切片をそのまましゃぶっていたそうです。
元気に長生きする為に色々な工夫をしていたんですね。
ちなみに乾隆帝は89才、西太后は74才まで生きたそうです。
私が本書で個人的に面白かったのは、年代ごとの東洋医学的な大まかな対応策です。
実際には個々人の体質などの違いも考慮しないといけないと思いますが、一つの参考になります。
30代:肝の補強(肌トラブルなど、肝と血の問題が出てくる)
40代:脾肺の補強(胃もたれ、声枯れ、息切れなどの問題が出てくる)
50代:肝腎の陰の補強(処方としては六味地黄丸、十全大補湯など)
60代:腎陽の補強(処方としては八味地黄丸、牛車腎気丸など)
70代:脾気虚(皮膚枯れなど)
80代:肺気衰
90代:腎気焦(四臓経脈空虚)
100代:五臓皆虚
段々と色々な臓腑が弱っていき、最終的には全ての臓腑が弱るという流れが見て取れます。
『針麻酔治療入門』(樂嘉裕著、恩地裕訳、永井書店)(2026年4月)
針麻酔は手術のときに薬剤の麻酔薬の代わりに針を使うというものです。
実際に針麻酔による手術も多数行われました。
現在は針麻酔が研究されることはほとんどありませんが、一時期よく研究された時代がありました。
針麻酔が廃れた要因は針麻酔の効果は個人差が大きく、効かなかった時の為に、麻酔薬も常に用意しておかなければなず、二度手間になることも多かったという事だったようです。
針麻酔の利点としては、手術中も患者の意識があり患者に様子を聞きながら手術できることや、麻酔薬のような副反応が無いことだったそうです。
本書『針麻酔治療入門』(樂嘉裕著、恩地裕訳、永井書店、昭和50年発行)はそんな針麻酔がよく研究されていた時代の本です。
手術内容によって、より効果的なツボ、刺針部位も研究されていたようです。
少し内容を紹介すると、
歯:反対側の三間、合谷。同側の局所(人中、迎香、承奬、頬車、觀髎、大迎、下関など)
甲状腺:扶突、後扶突(扶突の後ろ0.5cm)
扁桃腺:合谷、支溝、曲池
肺:内関、聴会、風池
胃:足三里、上巨虚
虫垂:右合谷、右内関。上巨虚、足三里、太衝、三陰交
ヘルニア:三陰交、上巨虚
卵管結紮:顔面針、三叉神経刺激
膝:腰椎3~4外側、大腿神経、坐骨神経、大腿外側皮神経
包帯交換、傷の洗浄:合谷、足三里
※手順:刺針、1~2分念針、1~5分置針、1~2分念針。20~30分後に麻酔効果が最大となる。
※耳針による針麻酔のツボ:交感、神門、皮質下、肺、腹、胰胆など
鍼の世界は広大なものです。
このような先人たちの研究の一つ一つが鍼の学術に厚みをもたらすものだと思います。

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