かんたん中医学講座
第1回 「気・血・津液について」 〜気について〜
気・・・生命を生かす神秘なるもの
東洋医学で「気」という用語はよく出てきます。近頃、ヨガや気功がブームで、「気」という言葉を頻繁に耳にする機会も多いのではないでしょうか。また、東洋思想の中でもキーとなる言葉です。東洋医学・東洋思想・気功などを、少しでも勉強すると「気」という用語がいろんな使われかたをしているので、混乱しそうになります。
もともと「気」という字は「氣」という字で、「お米をふかすときに出る蒸気」を意味していました。また「汽」という字もありますが、これは「ふかして出る蒸気」という意味で、「氣」や「汽」の原字が「气」で、「息」や「湯気(水蒸気)」や「雲気」をあらわしていました。このように「目にははっきりとは見えないけれども存在するなにか」をキ(气・汽・氣・気)という言葉であらわしたのでしょう。
このような気ですが、東洋思想で使う“大きな概念としての気”と、東洋医学で使う“小さな概念としての気”があります。大概念としての気は、「気一元」という言葉があるように、すべてのものは気によってできており、万物の変化のはたらきも気によってなされていると考えられていました。
小概念としての気は、主に飲食物から得られ、生命力のもととなるもの、または生命力そのものを指しています。
このように、東洋医学では「生命力」を気という用語で表すのですが、東洋医学では、「気」という用語を一文字で使うだけでなく、元気、営気(えいき)、衛気(えき)、宗気(そうき)、臓腑の気、経絡の気など、さまざまな表現をして使います。しかし、基本的には中身は一緒であって、使われる場所により違う名前で呼ばれていると考えて差し支えありません。つまり、小林旭さんの「京都にいるときゃ、しのぶと呼ばれたの、神戸じゃ、なぎさと名のったの〜」ですね。なにっ、古いですって!大きなお世話です(笑)
気の分類
- 営気:経絡の中を流れる気。
- 衛気:経絡の外を流れる気。
- 元気:先天の気(父母から受け継いだ気)または正気(生命力)のこと。
- 宗気:肺が呼吸して天空の清気(清らかな空気)を取り入れたばかりの気。
- 臓腑:経絡の気:それぞれの臓腑・経絡にある気。例、肝気、腎気、太陰肺経の気など。
気の生成
口から入った飲食物が胃と脾によって腐熟(消化のこと)された水穀の精微(消化吸収されてできた栄養物)と、肺が天空から取り入れた清気(清らかな空気)と、腎の精気(先天の気)から生成されます。
気の働き
- 推動作用:血の運行や津液の輸布(巡らすこと)、排泄、経気の循環など、ものを動かすこと。
- 温ク作用:温める作用。
- 防衛作用:外からの邪気から身体を守る作用。
- 固摂作用:漏れないようにする作用。例えば老人で、ぶつけたわけでもないのに皮下出血することありますが、これは加齢によって気が不足し固摂作用(血管から血が漏れないようにする作用)が低下したためです。
- 気化作用:物質転化。気・血・津液の生成と相互転化。
気の病証
- 気虚:気の不足の状態。
- 陽虚:気の不足ですが、気の温ク作用の特に低下したもの。
- 気滞:気が停滞したもの。
- 気逆:下に降りるべき気が上に昇ったもの。
次のページで「血」と「津液」を見ていきたいと思います。

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