「院長の独り言」ジャンル別
「院長の独り言」ジャンル別~薬草・健康食材編~
薬草・健康食材編 ―2011年-2013年―
秋の味覚(2013年9月)
9月になり季節としては秋になりました。
秋は“味覚の秋”とも言われ、美味しいものが沢山ありますね。
ちょっと思いつくだけでも、栗、梨、柿、林檎(リンゴ)、葡萄(ブドウ)、などがあります。
ちなみに東洋医学では次のような効能があると言われています。
気味(性質) | 主治(主な働き) | |
---|---|---|
栗 | 鹹、温、無毒 | 気を増やし、胃腸を厚くし、腎を補い、飢えに耐えれるようにするなど |
梨 | 甘、微酸、寒、無毒
※ただし食べ過ぎると冷やしすぎる、血虚の人も食べてはいけない |
熱による咳や渇きを止める、大小便の出をよくする、胸中の熱を取る、肺を潤す、酒毒をとるなど |
柿 | 甘、寒、渋、無毒 | 耳鼻の気を通じさせる、胃腸の不足を治す、酒毒を解く、口の乾きを止めるなど |
林檎 | 酸、甘、温、無毒 | 気を降ろし、痰を消す、霍乱による腹痛を治す、消渇の人はこれをよく食べるとよいなど |
葡萄 | 甘、平、渋、無毒 | 筋骨の湿によるしびれ痛み、気を増し力を強くする、飢えや風寒に耐えれるようになる、小便の出をよくする、面白いのは長く服用していると長生きとアンチエイジングによい、葡萄酒もよいとされる。 |
秋の味覚それぞれに効能があり、それを知るというのも楽しいことです。
参考文献:『本草綱目』
梅(2013年6月)
先日、札幌の平岡公園に梅を見に行きました。
平岡公園の名物の梅ソフトを食べましたが美味しかったです。
ちなみに漢方薬でも梅を使います。
烏梅(ウバイ)と言い、未成熟の梅の実を燻蒸したもの生薬として使います。
烏梅の性味は「酸、渋、平」。
帰経は「肝、脾、肺、大腸」。
効能は「慢性の咳、慢性の下痢、回虫による腹痛、下血、血尿、性器出血、のどの渇きなど」です。
烏梅は漢方薬ですが、われわれ日本人は梅を梅干という食品として摂っています。
梅干にも次のような効能があると言われています。
- 唾液の分泌を促して消化吸収を良くする効果
- 疲労回復の効果
- 血糖値の上昇を抑える効果
- 便秘の解消を助ける効果
- 肝機能を高めることによって酔いを防止する効果
- 解熱効果
- 抗菌・防腐効果
観ても美しい梅ですが、食べても美味しく、しかも体にも良いとは、梅は素晴らしいですね。
甘酒(2011年11月)
甘酒には2つ種類があります。1つは酒粕に砂糖を加えて作ったもの、もう1つは麹から作ったものです。
最近、我が家では麹から作った甘酒がブームです。
現代では甘酒は冬の飲み物ですが、江戸時代には夏バテ防止のために夏に飲まれていたそうで、それだけ体に良いということです。
甘酒には、体のエネルギー源となるブドウ糖を始め、必須アミノ酸やパントテン酸、ビタミンB1、B2、B6、ビオチミンなど必須ビタミン類が多く含まれており、米糀(こうじ)に由来する食物繊維やオリゴ糖も豊富です。
日本醸造学界では麹菌を国菌と定めているそうです。
古来から日本では麹を日本酒、味噌、食酢、漬物、醤油、焼酎など様々に利用してきました。
そしてそれらは単に美味しいだけではなく麹の酵素やそれからつくられる様々な物質が私たちの健康を作ってくれる食品でもあります。
まさに、日本の“ソウルフード”ではないでしょうか。
秋の刈り取り前の田んぼの稲穂に大豆大の稲麹がつくことがあります。
昔はこの稲麹を豊作のしるしとしてありがたいものとされ、明治時代の頃までは麹屋さんはこの稲麹を麹の種としていたそうです。
現在は稲麹はモミを黒くさせるとして嫌われ、病気とされ、農薬が使われるようになりました。
昔は麹屋さんはその地域の種麹を使い、その土地で採れた米や麦で麹を作っていたそうです。
鍼灸もそうですが、伝統の文化や技術というものは一度失われると復活するのは大変です。
私たちの大切なたくさんの日本の伝統の文化や技術を守り、次の世代に伝えることはとても大切なことではないでしょうか。
甘酒をご自宅で作ってみては・・・
麹から作る甘酒ですが、結構気軽に作れます。
市販の本にも作り方が載っているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
我が家の甘酒の作り方に興味のある方には、太玄堂鍼灸院ご来院の際、こっそりお教えします(^^)
塩麹と甘酒のおいしいレシピ―料理・スウィーツ・保存食 麹のある暮らし |
夏でもおいしい麹甘酒で健康になる (ホーム・メディカ・ブックス・ビジュアル版) |
お茶の話(2011年9月)
最近のマイブームは紅茶・日本茶・中国茶などのジャンルにこだわらずお茶にはまっています。
お茶の歴史は古く、8世紀には中国の陸羽により『茶経』が書かれており、日本に於いても12世紀に栄西によって『喫茶養生記』が書かれています。
いずれにしてもお茶の最初は薬だったのがやがて嗜好品としての飲み物として一般に広まっていったようです。
お茶の始まりは中国のようで緑茶やウーロン茶だけでなく紅茶も中国で生まれたようです。
中国の紅茶の正山小種(ラプサン・スーチョン)と祁門(キームン)を飲んでみました。
正山小種(ラプサン・スーチョン)はその香りが強烈で最初はとても飲めないと思いましたが何回か飲んでいると慣れたのか意外とその香りにはまる感じでした。
祁門(キームン)はすっきりした感じでとても飲みやすかったでした。
ちなみに茶葉の東洋医学的な効能は
- キョ風・清爽頭目
- 清熱降火・解暑
- 解熱毒・止痢
- 利水
で、簡単にいうと、「体のいらない熱を取り、頭と目をすっきりさす働き」があります。
熱中症予防に牛乳(2011年8月)
2011年07月13日放送の“ためしてガッテン”『血液からツヨくなる!熱中症で死ぬもんかSP』で熱中症予防に牛乳が良いというのをやっていました。
内容を簡単にまとめますと、
「熱中症予防には、汗をかきやすく、体温が上がりにくい暑さに強い体を作ることが大切。
その為に運動が大切であり、ちょっと汗ばむ程度のを30分以上した後、30分以内に牛乳を300ml飲むことを4~5日間続けると良い」
とのこと。
運動後に牛乳に含まれるタンパク質をとるとアルブミンが合成されます。
アルブミンには水分を保持する働きがあるため、血液中にアルブミンが増えると、水分が引き込まれ、血液量が増えます。
血液は、汗の材料でもあるため、血液量が増えると、汗をかきやすくなったり、皮膚血流の増加による熱放散をしやすくなったりして、体温が上がりにくい体になるというものです。
番組を観てとても面白かったですし、改めて納得した部分もありました。
というのも以前「「院長の独り言」特別編『牛乳について』」で書いたのですが、『本草綱目』によると、東洋医学での牛乳の効用の主なものは次の3つがあります。
- 体が弱り・やせ細ったのを補う働き。
- 体の熱毒や咽の渇きを除く働き。
- 皮膚や大腸を潤す働き。
体の熱毒や咽の渇きを除く働きは、簡単に言うと「体を冷やす」ということですし、皮膚や大腸を潤す働きは、「汗をかきやすくする」ということですし、体が弱り・やせ細ったのを補う働きは、「血流量が増えれば当然そういう働きがある」ことになります。
東洋医学的にみても熱中症予防に効果があるのがわかります。
余談ですが東洋医学の診断法に舌診というのがありますが、熱中症だと舌の色が赤黒くて、でこぼこしてきます。 参考にしてみてください。
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