「院長の独り言」ジャンル別

「院長の独り言」をジャンル別でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

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「院長の独り言」ジャンル別~薬草・健康食材編

薬草・健康食材編 ―2020年-2022年―

静神丸、黒ゴマの効用(2022年9月)

静神丸は黒ゴマと蜂蜜を等分に混ぜたもので、「肺黄を治し、五臓を潤す」とされ、昔は不老長寿の仙薬とされていました。

それだけ黒胡麻には薬効が有るということだと思います。

ゴマには多くの抗酸化物質が含まれ老化防止効果があります。

ちなみに黒ゴマと白ゴマでは栄養学的には成分はほとんど変わらないとされていますが、『本草綱目』では黒ゴマを勧めています。

『本朝食鑑』では白ゴマは肺に、黒ゴマは腎に作用するとしています。

東洋医学では黒ゴマは肝腎の陰を滋養する働きがあり、虚弱体質の改善や、産後の回復、老化による諸症状の改善に使われます。

また潤す働きがあるので、乾燥して出にくい便秘に使われたりします。

胡麻仁
性味:甘、平
帰経:脾、肺、肝、腎
①滋養肝腎、補益精血
②潤燥滑腸

蜂蜜
性味:甘、平
帰経:肺、脾、大腸
①潤腸通便
②清熱、潤肺止咳
③補中、緩急止痛

ちなみに私はすりゴマときな粉を等量混ぜたものに蜂蜜を適量混ぜたものを、たまにおやつ代わりに食べます。

黒豆(黒大豆)
性味:甘、平
帰経:肝、腎
①滋陰補血、利水
②キョ風止痙
③解毒

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生姜と乾姜(2022年8月)

生姜と乾姜はよく使われる生薬です。

どちらもショウガなのですが、使われ方(加工法)が違います。

また中国と日本で生姜と乾姜の指しているものが異なります。

生姜は中国では生のショウガ、日本では乾燥させたショウガをさします。

日本では生のものは鮮姜といって区別します。

乾姜は中国では乾燥させたもの、日本では加熱したものを指します。

中国では加熱したものをホウ姜といいます。

ショウガは生のものは解毒作用や発汗作用が強く、乾燥、加熱することによって体を温める作用がだんだん強くなります。

東洋医学は同じ字でも意味が異なる場合があり、その点も気をつけて学ぶ必要があります。

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ナツメ(2021年9月)

今回はナツメ(棗)について、

中国には、「一日に3粒ナツメを食べると年を取らない」という言い伝えがあります。

サムゲタンなど料理に使われますが、漢方薬にも使われ、生薬名は大棗(タイソウ)といいます。

性味は甘、微温。
帰経は脾、胃、心、肝
効能は①補脾和胃②養営安心③緩和薬性

基本的には気を補う生薬になります。

栄養学的には、食物繊維 ビタミンB群 葉酸 カリウム 鉄分 リン カルシウムなどが豊富ですが、食べすぎるとお腹が張り便秘になったり、またカロリーが高いので、多くても20粒以内がお勧めです。

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五臓と食べ物(腎の臓)(2021年7月)

今回は腎の臓に良い食べ物を紹介したいと思います。

一般的に腎の臓に良い食べ物とされている主なものは以下のものです。

クルミ、ゴマ、黒豆、大豆、人参、アスパラガス、山芋、冬瓜、ソラマメ、栗、ぶどう、きくらげ、蛤、フカひれ、スッポン、ナマコ、昆布、ワカメ、牡蠣

ちょっと専門的になりますが、同じ腎の臓でも、どの部分が悪いかによってより良い適した食べ物があります。

温陽補腎:クルミ、ニラ、羊肉、鶏肉、スズメ、エビ、ナマコ
【生薬】冬虫夏草、肉ジュウヨウ、杜仲、韮子、肉桂、小茴香

滋陰補腎:小麦、黒クワイ、豆腐、黒ゴマ、黒豆、卵、牛乳、豚肉、スッポン、アワビ、貝類
【生薬】石斛、黄精、枸杞子、桑椹、地黄

何かの参考にしてもらえればと思います。

■参考文献:

『薬膳教本』(岡本清孝著、柴田書店イータリンク)

『中医薬膳学』(辰巳洋著、東洋学術出版社)

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五臓と食べ物(肺の臓)(2021年6月)

今回は肺の臓に良い食べ物を紹介したいと思います。

一般的に肺の臓に良い食べ物とされている主なものは以下のものです。

糯米、大根、白菜、紫蘇、ネギ、ニンニク、ショウガ、ビワ、みかん、梅、スモモ

ちょっと専門的になりますが、同じ肺の臓でも、どの部分が悪いかによってより良い適した食べ物があります。

補気益肺:穀類、山芋、肉類、サバ、サメ、タチウオ、イワシ、カツオ、タラ
【生薬】朝鮮人参、党参、太子参、黄耆、大棗

潤肺降気:百合根、白きくらげ、松の実、白ごま、梨、ビワ、柿、羅漢果、蜂蜜、卵、豆乳
【生薬】阿膠、麦門冬、沙参、玉竹、黄精、杏仁、枸杞子

何かの参考にしてもらえればと思います。

■参考文献:

『薬膳教本』(岡本清孝著、柴田書店イータリンク)

『中医薬膳学』(辰巳洋著、東洋学術出版社)

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五臓と食べ物(脾の臓)(2021年5月)

今回は脾の臓に良い食べ物を紹介したいと思います。

一般的に脾の臓に良い食べ物とされている主なものは以下のものです。

牛豚の内臓、山芋、甘藷、里芋、ジャガイモ、エンドウ、ソラマメ、大豆、にんじん、ゴボウ、蕪、キャベツ、白菜、シソ、パセリ、トマト、ふき、レンコン、ネギ、ショウガ、ニンニク、大根、カボチャ、大麦、リンゴ、ミカン、イチジク、豆腐

ちょっと専門的になりますが、同じ脾の臓でも、どの部分が悪いかによってより良い適した食べ物があります。

補脾益気:穀類、イモ類、シイタケ、キャベツ、肉類、イワシ、タラ、マナガツオ
【生薬】朝鮮人参、党参、黄耆、山薬、扁豆、大棗

健脾益気:大麦、ハト麦、トウモロコシ、インゲン、コイ
【生薬】茯苓、白朮、扁豆

養陰益胃:小麦、黒クワイ、豆腐、豚肉
【生薬】麦門冬、沙参、石斛、玉竹、百合

温裏散寒:ショウガ、ネギ、羊肉、鶏肉、胡椒、山椒
【生薬】肉桂、乾姜

疏肝和胃:そば、玉ねぎ、みかん、ジャスミン
【生薬】陳皮、薤白、玫瑰花(マイカイカ)、仏手

健脾消食:大根、オクラ、かぶ、ニンニク、唐辛子
【生薬】山査子、神麹、麦芽、穀芽

何かの参考にしてもらえればと思います。

■参考文献:

『薬膳教本』(岡本清孝著、柴田書店イータリンク)

『中医薬膳学』(辰巳洋著、東洋学術出版社)

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五臓と食べ物(心の臓)(2021年4月)

今回は心の臓に良い食べ物を紹介したいと思います。

一般的に心の臓に良い食べ物とされている主なものは以下のものです。

ゴボウ、にんじん、ほうれん草、セロリ、セリ、春菊、玉ねぎ、ニラ、ネギ、こんにゃく、きゅうり、ナス、冬瓜、クワイ、ニンニク、シイタケ、きくらげ、アジ、イワシ、サバ、サンマ、マグロ、昆布、ひじき、スッポン

ちょっと専門的になりますが、同じ心の臓でも、どの部分が悪いかによってより良い適した食べ物があります。

益気治血:コメ、小麦、クワイ、豚ハツ
【生薬】西洋参、朝鮮人参、甘草、桃仁

養心安心:にんじん、ほうれん草、落花生、ぶどう、豚ハツ、ナマコ、卵、牛乳
【生薬】竜眼肉、当帰、熟地黄、真珠粉、百合

何かの参考にしてもらえればと思います。

■参考文献:

『薬膳教本』(岡本清孝著、柴田書店イータリンク)

『中医薬膳学』(辰巳洋著、東洋学術出版社)

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五臓と食べ物(肝の臓)(2021年3月)

札幌もだいぶ春らしい日差しになってきました。
春は肝の臓の季節です。
今回は肝の臓に良い食べ物を紹介したいと思います。

一般的に肝の臓に良い食べ物とされている主なものは以下のものです。

枸杞、レバー、スッポン、人参、蕪、セリ、セロリ、アスパラガス、トウモロコシ、金針菜、ビワ、ブドウ、スモモ、鯉、鱒、浅蜊、蛤、蜆

ちょっと専門的になりますが、同じ肝の臓でも、どの部分が悪いかによってより良い適した食べ物があります。

疏肝理気:そば、菜の花、らっきょう、えんどう豆、ハマナス、梅の花、ジャスミン、ミカン、オレンジ、ゆず、レモン
【生薬】陳皮、マイ塊花、枳殻、薄荷、仏手

養血柔肝:にんじん、ほうれん草、落花生、ぶどう、レバー、イカ、マナガツオ
【生薬】当帰、熟地黄、竜眼肉

何かの参考にしてもらえればと思います。

■参考文献:

『薬膳教本』(岡本清孝著、柴田書店イータリンク)

『中医薬膳学』(辰巳洋著、東洋学術出版社)

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柿(2020年10月)

秋は果物のおいしい季節ですね。
そんな秋の味覚の中で今回は柿について少し述べてみたいと思います。

柿を東洋医学的に見てみますと、


性味:甘、渋、寒。
帰経:肝、胃。
主治:清熱生津(熱をとり潤いを生む)、潤肺止咳(肺を潤し咳を止める)。
薬膳例:口の渇き、口内炎、咳嗽に柿2個の皮をむいて食べる。高血圧、口内炎に未熟の柿の汁を絞って、おもゆで調合して飲む。

薬膳では柿の実をよく用いますが、漢方薬では柿の実よりも、柿蔕(柿のヘタ)や柿霜(干し柿の表面にできる白い霜状のもの)を用います。

柿蔕(柿のヘタ)と柿霜(干し柿の表面にできる白い霜状のもの)を東洋医学的に見てみますと、

柿蔕
性味:苦、渋、平。
帰経:胃。
主治:降気止涼
※柿蔕は、吃逆(しやっくり)によく使われる生薬です。

柿霜
性味:甘、涼。
帰経:肺、胃。
主治:清熱生津、潤肺止咳。
※柿霜は喉痛、口内炎、咳嗽などに使われます。

柿も実だけでなく、色んな部位が使われるのが面白いですね。

■参考文献:

『薬膳』(伍 鋭敏編著、東京書籍)

『中医臨床のための中薬学』(神戸中医学研究会、医歯薬出版株式会社)

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