「院長の独り言」ジャンル別

「院長の独り言」をジャンル別でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

「院長の独り言」ジャンル別

「院長の独り言」ジャンル別~2020年~2022年に紹介した書籍

鍼灸・東洋医学・医療関連書籍

鍼灸・東洋医学関連等おすすめ書籍編メニューへ戻る

鍼灸・東洋医学・医療関連書籍

『井筒俊彦著作集9 東洋哲学』(中央公論社)(2020年3月)

本書は著者の講演や論文などを集めたものです。
著者は哲学者で東洋哲学、言語哲学など幅広く研究された方で、専門はイスラム古典哲学です。

個人的に面白かったのは、「コスモスとアンチコスモス」でした。
コスモスは秩序だったロゴスの世界、アンチコスモスは(著者はアンチコスモスと言葉を変えていますが)カオス、混沌のことです。
一般的に西洋は秩序だったコスモスの世界に対しては真善美を見出し愛し安心する対象で、無意味、非合理なカオス(アンチコスモス)に対しては恐怖や死を意識する嫌悪する対象です。

逆に東洋ではこのカオス、無こそ生命の根源、本当の実在だとする伝統的な文化があります。
老荘思想や仏教思想などでは、目の前にある現実といわれる秩序だった存在、コスモスが本当に確たる存在なのだろうか?
夢や幻のような、あやふやなものではないだろうかという視点を持っています。

ポストモダン、ポスト構造主義という現代哲学も、著者は同じような流れとして見ています。
デリダの解体のように、その存在が本当にそうなのだろうか?と秩序だったコスモスの世界の構造を一度解体して考えてみる。
あるいは固定化されたコスモスの秩序、構造を一度破壊して、新たな構造を組みなおしてみることも大事なのではないか。
閉塞した現代において、それを打開する方法の一つとしてデリダのようなポスト構造主義が存在する。
それは東洋思想というものが現代に存在する意義を持っているということでもあります。

個人的にはその他に、「理事無礙」から「事事無礙」という仏教の華厳哲学の表現を用いて、イスラム哲学のイブヌ・ル・アラビーの哲学を「理理無礙」から「事事無礙」に行く思想だと解説した部分なども面白かったです。

いづれにしても、東洋的なものの見方・考え方が、閉塞した現代を乗り越える為のツールとなりえる、そう改めて感じさせてくれた一冊でした。

△ページTopへ戻る

鍼灸・東洋医学関連等おすすめ書籍編メニューへ戻る

院長の独り言メニューへ戻る

△ページTopへ戻る