「院長の独り言」ジャンル別

「院長の独り言」をジャンル別でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

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「院長の独り言」ジャンル別~2020年~2022年に紹介した書籍

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鍼灸・東洋医学・医療関連書籍

『放射線像 放射能を可視化する』(森敏・加賀谷雅道著、皓星社)(2020年12月)

本書『放射線像 放射能を可視化する』はオートラジオグラフィー(放射線写真法)という、分布している放射性物質から放出されるベータ線粒子やガンマ線から画像を作成する手法で、福島第一原発事故で汚染された動植物から日用生活品など60点余りを掲載した写真集です。

2015年に出版されたもので、現在の状況とはもちろん異なってはいるでしょうが、改めて原発問題、放射能汚染問題というものを、考えさせられました。

私が個人的に興味深かったのは、ネズミを撮影すると腎臓と胆のうが濃く写った、というものでした。
つまり、腎臓と胆のうが放射線量が高かったということです。

何故、腎臓と胆のうに放射線量が高かったのか?
ネズミと人間で種は異なるが人間でも腎臓と胆のうの放射線量が高いのか?

答えは分かりませんが、東洋医学的には胆のうの働きは①胆汁の貯蔵と排泄②決断を主る(物事を正しく判断する働き)と二つの働きがあるとされています。

ちなみに生薬に熊胆というのがあります。
熊の胆汁を乾燥させたもので、強い清熱解毒の働きがあります。
極論すれば胆のうには清熱解毒の働きがあるとも言えます。

腎臓の東洋医学的働きは①成長と発育と生殖②水を主る③納気を主る④生髄充脳化血⑤各臓腑をナン養温煦など、いろいろありますが元気の大本の働きがあり、各臓腑のバックアップをする縁の下の力持ちです。

これはあくまで私の個人的な推論ですが、放射線汚染により、それを解毒するために胆のうと腎臓が大いに働き、疲労し、その結果として腎臓と胆のうに放射線量が高くなったということではないでしょうか。

放射線障害の治療をするときの参考になるかもしれないと思いました。

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『メディカルハーブ LESSON』(佐々木薫監修、河出書房新社)(2020年11月)

今回は患者さんから紹介された本を紹介します。

基礎からよくわかる メディカルハーブLesson』という本でタイトルのメディカルハーブとは、健康維持のためにハーブを使用する分野のことだそうです。
ハーブにはビタミン、ミネラル、アルカロイド(精神安定・興奮)、フラボノイド(発汗・利尿・抗アレルギー)、タンニン(抗酸化・収れん)、精油(防虫・抗菌)、苦味質(健胃・強肝)、粘液質(粘膜保護・熱の保持)など有用な植物化学成分が含まれています。

本書では、セージ、ジャーマンカモミールなど普段よく使われる33種類のハーブが載っており、それぞれの作用が書かれています。残念ながら東洋医学的な薬効は分からないものが多いのですが、その中でいくつか手元の資料で分かるものが有ったので、比較して紹介したいと思います。

バードックルート(ごぼう)

西洋では日本のように食材として食べる習慣がなくハーブとして古くから用いられたそうです。
ハーブとしての主な作用は、緩下、消化機能促進、利尿など。
東洋医学的なゴボウの主な作用は、肝鬱鎮火、補腎強壮、去痰など、性味は甘、辛、平。
漢方薬として使う場合は牛蒡子といいますが根でなく実を使います。
牛蒡子:性味辛、苦、寒。帰経:肺、胃。主な作用は、疏散風熱、利咽散結、去痰止咳、宣肺透疹、解毒消腫。
根と実の違いもあるのでしょうが、西洋のハーブとしての使い方と東洋医学での使い方では違いもあります。
西洋ハーブとしてはむくみ、食べ過ぎ、肌のトラブルなどに用いられることが多く、で東洋医学的には熱性のカゼ、のどの痛み、咳止め、化膿性の皮膚炎、麻疹などに用いられることが多い。
もちろん東洋医学でもゴボウの緩下、利尿作用は分かっていて、例えば脾虚などで水様便~泥状便の人には使用してはいけないなどの使用上の注意としての認識のようです。

ダンディライオン(西洋タンポポ)

主な作用は、緩下、強肝、催乳、利胆。
通常は根を用いますが葉を用いることもあります。
東洋医学的には蒲公英、ホコウエイと呼びます。根を付けた全草を用いますが根だけ用いる場合もあります。
性味:苦、甘、寒。帰経:肝、胃。
主な作用は清熱解毒、清腫散結、利水通淋、清利湿熱、清肝明目。
西洋ハーブとしては肝臓や胆のうの不調、便秘、消化不良、リウマチなどに用いられることが多く、東洋医学的には化膿性疾患、目の充血・腫れ、尿道炎などなどに用いられることが多い。

西洋のハーブとしての使い方と東洋医学での使い方において、異なった使われ方をする場合があるというのはとても面白く感じました。
同じ植物でも異なった作用の部分に着目しているということかもしれませんね。

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『臓腑経絡学』(藤本連風、奥村裕一、油谷直著、アルテミシア)(2020年7月)

西洋医学において基礎となる学問は解剖学と生理学になります。
東洋医学において西洋医学の解剖学、生理学に相当する基礎的な学問が臓腑経絡学になります。

西洋医学の解剖学、生理学と東洋医学の臓腑経絡学は似ているようで大きく違います。
解剖学や生理学は内臓などの部分がどう働いているのか?
つまり部分に注視した学問です。

それに対して、東洋医学の臓腑経絡学は臓腑、経絡の変動によって身体がどのような表現をするのか?(これを蔵象といいます)
言わば臓腑、経絡の変動が身体全体にどのような影響を与えるのか?
つまり身体全体に注視した学問です。

臓腑は心、肺、脾、肝、腎の五臓と胃、胆、小腸、大腸、膀胱、三焦の六腑です。
経絡は正経十二経脈があり、その他に十二経別、十二経筋、十二皮部があり、奇経八脈があり、絡脈として十五絡、浮絡、孫絡があります。
非常に細かく分かれた精緻な体系です。

藤本先生の豊富な臨床経験と学問によって書かれた本書は深く東洋医学を学びたいと思っている鍼灸学校の学生さんにとって、必読の書だと思います。

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『鍼灸学釈難』(李鼎著、浅野周訳、源草社)(2020年6月)

本書『鍼灸学釈難』は今から20年ほど前、私が鍼灸学校を卒業してすぐの頃に買った本です。
本棚から久し振りに出してみました。

著者は上海中医薬大学の鍼灸の教授で、この本は鍼灸の学生向けに書かれた本です。
東洋医学を学ぶうえで鍼灸の学生が疑問に思うようなことに対して解説されています。

例えば、 奇経八脈は八脈交会穴を循行していないのに何故そこが交会穴なのか?
十二経別と十二絡脈はどう違うのか?
足太陰脾経には足太陰の絡が記載されているのに何故脾の大絡があるのか?
是動病、所生病とは何か、これについてどういう解釈があるのか?
どうして同名穴はあるのか、同名穴どうしはどのような関係があるのか?
風池、風府、風門の治療作用はどう違うのか?
など108の問いに答えています。

東洋医学の疑問に答えてくれる鍼灸の学生向けの良書の一つだと思います。
私も買った当初は夢中で読みました、興味のある方にはおすすめの一冊です。

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『井筒俊彦著作集9 東洋哲学』(中央公論社)(2020年3月)

本書は著者の講演や論文などを集めたものです。
著者は哲学者で東洋哲学、言語哲学など幅広く研究された方で、専門はイスラム古典哲学です。

個人的に面白かったのは、「コスモスとアンチコスモス」でした。
コスモスは秩序だったロゴスの世界、アンチコスモスは(著者はアンチコスモスと言葉を変えていますが)カオス、混沌のことです。
一般的に西洋は秩序だったコスモスの世界に対しては真善美を見出し愛し安心する対象で、無意味、非合理なカオス(アンチコスモス)に対しては恐怖や死を意識する嫌悪する対象です。

逆に東洋ではこのカオス、無こそ生命の根源、本当の実在だとする伝統的な文化があります。
老荘思想や仏教思想などでは、目の前にある現実といわれる秩序だった存在、コスモスが本当に確たる存在なのだろうか?
夢や幻のような、あやふやなものではないだろうかという視点を持っています。

ポストモダン、ポスト構造主義という現代哲学も、著者は同じような流れとして見ています。
デリダの解体のように、その存在が本当にそうなのだろうか?と秩序だったコスモスの世界の構造を一度解体して考えてみる。
あるいは固定化されたコスモスの秩序、構造を一度破壊して、新たな構造を組みなおしてみることも大事なのではないか。
閉塞した現代において、それを打開する方法の一つとしてデリダのようなポスト構造主義が存在する。
それは東洋思想というものが現代に存在する意義を持っているということでもあります。

個人的にはその他に、「理事無礙」から「事事無礙」という仏教の華厳哲学の表現を用いて、イスラム哲学のイブヌ・ル・アラビーの哲学を「理理無礙」から「事事無礙」に行く思想だと解説した部分なども面白かったです。

いづれにしても、東洋的なものの見方・考え方が、閉塞した現代を乗り越える為のツールとなりえる、そう改めて感じさせてくれた一冊でした。

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その他の書籍

『ファクトフルネス』(ハンス・ロスリング著、日経BP社)(2022年11月)

「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」と副題に書かれているとおり、本書は真実を知ることの障壁となる10の本能が書かれています。

分断本能
ネガティブ本能
直線本能
恐怖本能
過大視本能
パターン化本能
宿命本能
単純化本能
犯人捜し本能
焦り本能

以上のことに注意しながらデータを正しくみればより真実に近づけると書かれていました。

現代は混迷の時代ですので、このような本は参考になりますね。

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『交通安全を語る仏さま』(釈 地縁著)(2021年12月)

交通安全を語る仏さま本書『交通安全を語る仏さま』は北海道内の道路わきの仏さまについて書かれた本です。

本書は自費出版のため書店では買えませんが、図書館などに寄贈されているので取り寄せて借りることはできます。

北海道内179市町村で約300体の仏さまが道端で見守っておられ、そのうち170体ほどが交通事故者の慰霊や交通安全祈願のために建立されたものだそうです。

近年では道端から姿を消す仏さまも出てきていることから、今のうちに記録を残さなくてはというのが本書出版のきっかけのようです。

道路わきの仏さまには、聖観音菩薩、馬頭観音菩薩、不動明王、阿弥陀如来、薬師如来、弘法大師、女神さまなど様々ですが地蔵菩薩が最も多いそうです。

お地蔵さま(地蔵菩薩)は輪廻を繰り返す六道の全ての世界で人々を救うとされています。

また笠地蔵という昔ばなしもあるように他の仏さまより私達衆生により寄り添ったイメージがあります。

道端の仏さまにお地蔵さまが多いのにもうなずけますね。

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