「院長の独り言」年度別

「院長の独り言」を時系列でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

「院長の独り言」特別編

夏バテしていませんか?(2005年8月)

夏のごあいさつ

暑中お見舞い申し上げます。みなさん、夏はいかがお過ごしですか?

近頃、海外で夏を過ごすかたも多くいらっしゃるようですが、私たちは、北海道という自然豊かな地に住んでいるので、果報者ですね。

さて、今回の院長の独り言は、暑中お見舞いなどという冒頭ではじめましたが、実際、今年の北海道の夏は本当に暑いの?なんて考えていたところ、今年の夏も例年通り暑くなりそう。夏といえば夏バテが名物ということで(なんでやねん)、今回は夏バテについてお話したいと思います。

夏バテの原因は水分のとりすぎ!?

夏バテはみなさんご存知のように、夏になると、体がだるい、疲れやすい、食欲不振などの症状がでるものです。

東洋医学では、暑邪(暑さ)によって、元気、陰液(体の水分)が失われたり、暑湿の邪(暑さや湿気(水))によって脾の臓が弱められるために起こると考えています。

もう一度夏バテの原因を東洋医学的に整理すると、以下の3つに分類されます。

  1. 暑邪により元気が傷(やぶ)られる。(東洋医学では邪によって働きが弱まったりすることなどを、傷(やぶ)られると表現します)
  2. 暑邪により陰液が傷られる。
  3. 暑湿の邪により脾の臓が傷られる。

ここで注意しなければならないのは、水分は補給しなければならないのですが、取り過ぎると脾の臓を傷ることです。脾は後天の本とも謂われ、元気を作るところでもありますので、脾が傷られると元気が生み出されません。

話は変わりますが、ペットボトル症候群というのがあります。清涼飲料水の飲みすぎで体がだるい、疲れやすいなどの症状がでるものです。(どこかで聞いた症状ですね。)院長の独り言でいつか説明するつもりですが、水分や甘いものを取り過ぎると脾の臓が傷られ、身体がだるい、疲れやすい、食欲不振などの症状が出ます。逆に言えば身体がだるい、疲れやすい、食欲不振などの症状がある人は、何らかの原因で脾の臓が傷られているのです。

夏の水分補給にはスイカが適任

すいか話を戻します。昔は夏によくスイカを食べました。今でもスイカを食べますが、ジュースやアイスなどのほうが多いのでは?スイカやキュウリなどの瓜類は清熱利水の働きがあるので、熱を冷まし、余分な水分を身体から出してくれます。夏バテには良い食品です。ただし、食べるときには冷やし過ぎず、食べ過ぎないように。

最近はスローフードが(ファーストフードに対して伝統的な食べ物をさす)注目を浴びていますが、天の配在というべきか、伝統の食べ物というのは非常に良く出来ていますね。

ちなみに、漢方では清暑益気湯(せいしょえっきとう)などが有名で、その他に養生法で生薬の五味子(ごみし、気を益し陰液を生む作用がある)9gをお茶代わりに常服するというのもあります。

家庭でできる養生法としてお勧めなものに、お灸があります。足三里(あしさんり)などにお灸をするのはとても良いですね。通常はモグサをひねってお灸をするのですが、それが難しければ、せんねん灸のようなものでも良いです。

足三里以外のツボでは気海(きかい)または関元(かんげん)や中カン(ちゅうかん)などがあります。

しかし、できれば普段から身体のバランスを整えて夏バテしない身体作りが大切ですね。身体作りについては、別の機会にお話します。

※お灸の回数を壮数といいますが、お灸は5壮を目安に状態に合わせて加減してください。足三里など両側にツボがある場合は両方交互にお灸をしてください。関元、気海、中カンなどの一つしかないツボはそこに5壮お灸をしてください。

※漢方薬に関しては漢方薬に詳しい医師や薬剤師に、お灸に関してはお近くの鍼灸師とご相談の上お試しください。当院に来院可能なかたは、お灸についてご相談ください。

夏バテに効果的なツボ
ツボの名前ツボの場所ツボの図
足三里(あしさんり)足を60度曲げて座ったときに脛骨に沿って指で押し上げて止まるところの筋を隔てた外側。足三里
関元(かんげん)へその下指4本ぐらい。関元
気海(きかい)へそと関元の真ん中。気海(きかい)
中かん(ちゅうかん)胸骨下端(みぞおち)とへその真ん中。中かん(ちゅうかん)

※参考文献:『実用中医内科学』(上海科学技術出版)、『鍼灸実用経穴学』(本間祥白著、医道の日本社)

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