「院長の独り言」年度別

「院長の独り言」を時系列でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

「院長の独り言」特別編

四気五味〜医食同源を考える〜(2005年8月)

今回は、味覚と健康の観点から、食養生と関係の深い中医学理論、「四気五味について」をお話いたします。

医食同源の大切な理論「四気五味とは」

みなさんは「医食同源」という言葉を聞いたことがありますか?「医食同源」とは、すなわち、医も食も源は同じであるということをあらわした言葉です。この医食同源を考える上で、重要な中医学理論として、四気五味をあげることができます。四気五味とは、漢方で使われる生薬の性質のことであり、薬性理論の基本的な部分を占めています。しかも、四気五味は、漢方の生薬だけでなく、日常の食事に使われる食材のすべてに当てはめられています。まさに四気五味こそ医食同源の根幹をなす考えかたであり、漢方薬も食事も同じ理論のもとでできていることを示しています。ですから、この四気五味がわかるようになると、食養生の仕方もわかってくるようになります。

食養生といいますと、日本では大きく分けて三つの流れがあります。ひとつはマクロビオティックの流れ、もうひとつは西式健康法の流れ、そして漢方理論の流れです。それぞれ理論体系が異なりますので、どれが良いかについて一概にいえません。例えば、陰陽の考えかた一つとっても、マクロビオティックと漢方理論とで異なるケースがあります。詳しくはそれぞれの理論に熟知した信頼のおける先生にご相談ください。今回は、私の専門である漢方理論に基づいて説明を続けます。

それではまず四気についてご説明いたします。

四気について

四気とは、四性ともいい、寒・熱・温・涼という異なった薬性です。例えば、服用すると温熱感が生じ、寒涼性の病気に治療効果のあるものが温性・熱性であり、服用すると寒涼感が生じ、温熱性の病気に治療効果のあるものが涼性・寒性です。

涼と寒、温と熱は程度の違いであり、寒性の小さいのが涼性、熱性の小さいのが温性です。寒涼か温熱があまり顕著でない平性というのがありますが、実際は温、涼のいずれかに偏るので、五気とよばず四気といいます。

五味について

五味とは、酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(かんみ)という五つの味のことです。これ以外に淡味というのもありますが、「淡は甘に附す」といわれ、甘淡と併称されるため、六味といわず五味といいます。五味は、元来味覚によって判定されていましたが、五味と効能の関係が理論にまで高まるにつれ、生薬の効能に基づいて五味が確定されるようになり、味覚に基づかない場合も多くあります。よって一つの生薬にも、いくつかの味があることがわかります。それでは五味を一つずつみてみましょう。

五味
種類効能具体例
辛味
(しんみ:からい)
散(さん:さんじる)
行(ぎょう:めぐらす)
生姜(しょうきょう:しょうが)は散寒(さんかん:寒を散じる)に、木香(もっこう)は行気(ぎょうき:気をめぐらす)に働く。
※カゼを引いたとき生姜が良いのは寒を散じるため
甘味
(かんみ:あまい)
補(ほ:おぎなう)
緩(かん:急変を緩解する)
朝鮮人参は気を補い、甘草は急変を緩解する。
酸味
(さんみ:すっぱい)
収(しゅう:おさめる)
渋(じゅう:とどめる)
五味子は汗を止める。
苦味
(くみ:にがい)
瀉(しゃ:とる・排泄)
燥(そう:かわかす)
黄蓮(おうれん)は火を瀉(しゃ:とる)し、蒼朮(そうじゅつ)は湿を燥す(かわかす)。
鹹味
(かんみ:しおからい)
下(げ:排泄)
軟(なん:やわらかくする)
牡礪(ぼれい:かき)は瘰癧(るいれき:リンパ節などにできる塊)を治す。芒硝(ぼうしょう)は燥結(そうけつ:乾いて固まった)した大便を潤下(じゅんげ:潤し下す)させる。

前回の院長の独り言でスイカ取り上げましたが、スイカの四気は寒で、五味は甘です。キュウリも四気が寒で、五味は甘です。似ていますね。

四気五味のまとめ

以上四気五味は、漢方薬の薬性を論じるうえで重要な要素であり、四気五味が同じであれば同じような働きをします。ただ、各生薬はそれぞれ独自の効能も持っているため、四気五味の一般法則を知った上で、各生薬の独自の効能を知ることが大事です。

食養生として、四気五味の理論を利用したい場合は、自分の体質や病気が、熱タイプなのか、寒タイプなのかなどを知る必要があります。詳しくは、東洋医学をおこなっている医師・薬剤師・鍼灸師などにご相談ください。

また、自分が普段食べている食物が、四気五味では何に当たるのか知りたいかたは、『医食同源の処方箋』(葉橘泉編著、株式会社中国漢)や、その他類書が出ていますので、ご参照ください。

※参考文献:『中医臨床のための中薬学』(神戸中医学研究会編著、医歯薬出版)、『漢方用語大辞典』(創医会学術部主編、株式会社燎原)

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