「院長の独り言」年度別

「院長の独り言」を時系列でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

「院長の独り言」年度別

2018年7月〜12月の「院長の独り言」

『老人必用養草』(香月牛山原著、中村節子翻刻訳注、農文協)(2018年7月)

『老人必用養草』は江戸時代の後世派の医者である香月牛山による養生書です。本書『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)―老いを楽しむ江戸の知恵』は、その江戸の叡智を現代人の参考にと読みやすく活字化し、現代語訳したものです。

江戸時代の養生書としては貝原益軒の『養生訓』が現代では有名ですが、香月牛山はこの『老人必用養草』の他に『婦人寿草』という婦人科の養生の本や、『小児必用育草』という小児の育児書も書いています。

この『老人必用養草』は5巻から成ります。
第1巻は総論で養生の大切さを述べています。
第2巻は飲食について、第3巻は衣服、住居、季節ごとの養生について、第4巻は精神の保養、身体の保養、性欲について第5巻は老年の疾病治療について書かれています。

個人的に面白かったのは、第1巻で炭火の例えで養生の大切さを述べたところです。
炭は品質によって灰になるのが速いのと遅いのとがあるが、速く灰になる品質の悪い炭もいろりのなかで温かい灰をかけて保存すれば長持ちする。
このように人も養生をすればたとえ生まれつき身体が病弱でも身体を長持ちさせることができると説き、40歳代を老化の始まりとして若い頃から元気な人も40歳代から養生に努めた方が良いといっています。
そして第4巻の身体の保養のところでも40歳代からはそれまでとは仕事のやり方を変えるべきだとも述べています。

現代と江戸時代では異なる部分もあるので、この本の内容をすべて無条件には受け取れない部分もありますが、ある程度早い年代から養生に努めた方が良いというのは私も賛成です。

養生は習慣ですので、高齢になってから、「さあ、やろう」と思ってもなかなか難しいです。
運動一つとっても、日頃から運動不足の人はある程度まだ筋肉があるうちに運動する習慣をつけることが大切です。

しかし結局のところ、歳を経ていくとどうしても10代、20代の頃とは違い身体は衰えていきます。
そんななかで、今の自分の身体に合わせて、日々の生活や仕事を行う。
それが香月のいう40歳代からはそれまでとは仕事のやり方を変えるべきだということだと思います。

今の自分の身体と日々の生活を調和させる、それが養生の極意なのではないか、本書を読みながらそんなことを考えました。

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