「院長の独り言」年度別

「院長の独り言」を時系列でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

「院長の独り言」年度別

2020年1月~6月の「院長の独り言」

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『井筒俊彦著作集9 東洋哲学』(中央公論社)(2020年3月)

本書は著者の講演や論文などを集めたものです。
著者は哲学者で東洋哲学、言語哲学など幅広く研究された方で、専門はイスラム古典哲学です。

個人的に面白かったのは、「コスモスとアンチコスモス」でした。
コスモスは秩序だったロゴスの世界、アンチコスモスは(著者はアンチコスモスと言葉を変えていますが)カオス、混沌のことです。
一般的に西洋は秩序だったコスモスの世界に対しては真善美を見出し愛し安心する対象で、無意味、非合理なカオス(アンチコスモス)に対しては恐怖や死を意識する嫌悪する対象です。

逆に東洋ではこのカオス、無こそ生命の根源、本当の実在だとする伝統的な文化があります。
老荘思想や仏教思想などでは、目の前にある現実といわれる秩序だった存在、コスモスが本当に確たる存在なのだろうか?
夢や幻のような、あやふやなものではないだろうかという視点を持っています。

ポストモダン、ポスト構造主義という現代哲学も、著者は同じような流れとして見ています。
デリダの解体のように、その存在が本当にそうなのだろうか?と秩序だったコスモスの世界の構造を一度解体して考えてみる。
あるいは固定化されたコスモスの秩序、構造を一度破壊して、新たな構造を組みなおしてみることも大事なのではないか。
閉塞した現代において、それを打開する方法の一つとしてデリダのようなポスト構造主義が存在する。
それは東洋思想というものが現代に存在する意義を持っているということでもあります。

個人的にはその他に、「理事無礙」から「事事無礙」という仏教の華厳哲学の表現を用いて、イスラム哲学のイブヌ・ル・アラビーの哲学を「理理無礙」から「事事無礙」に行く思想だと解説した部分なども面白かったです。

いづれにしても、東洋的なものの見方・考え方が、閉塞した現代を乗り越える為のツールとなりえる、そう改めて感じさせてくれた一冊でした。

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雨水(うすい)(2020年2月)

今年の2月19日は、二十四節気の一つ、雨水です。
太陽の黄経が330度の時で、「雪が雨に変わり、氷が溶け始めるころ」という意味で、大寒や立春の寒さのピークから春が夏に向けて一歩進んだということです。
二十四節気の一つ一つには、ある1日を表す日にちとしての意味と、次の節気までの期間としての意味があるので、次の二十四節気の啓蟄(R2年3月5日)までが雨水の期間となります。
ちなみに黄経330度とは、天球上を一年かけて太陽が通る黄道を、春分の日を0度として計算したものです。

話は変わりますが、現在流行している新型コロナウイルスですが、東洋医学では温病という概念になります。
ちなみにインフルエンザも温病として考えられます。
西洋医学のカゼなどの感染症は東洋医学では外感病といいます。
外感病は大きくは傷寒病と温病の2つに分かれ、傷寒病は寒邪が温病は熱邪が中心です。
この時期に発病する温病は、風温や春温となります。

いずれにしても温病は熱邪が中心となりますので清熱の治療が中心となります。
刺絡治療であれば手足の井穴や百会などのツボに刺絡しますし、鍼であれば気分の熱か血分の熱か内臓の弱りは無いかなどきめ細やかに弁別してそれに応じたツボで治療します。
(漢方も鍼同様きめ細やかに弁別してそれに応じた漢方薬で治療します。)

東洋医学的にはこのような対応となりますが、このような高い伝染性の病は発症した場合は一義的に西洋医学の適応となりますので、当然ですが迷わず西洋医学の病院に行くべきです。
ちなみに、東洋医学的な予防としては正気(元気)を高めて免疫力をアップするのが基本となりますが、体質的に熱タイプの方や肝腎など内臓に弱りのある方は重症化しやすいのでその治療も併せて行います。
一応ご参考のために。

■参考文献:『中医臨床のための温病学』(医歯薬出版株式会社)
『基礎中医学』(燎原書店)

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2020年年始のご挨拶 ~接触鍼のレベルアップを目指す~(2020年1月)

あけましておめでとうございます。

本年も無事にお正月を迎えることができました。

これもひとえに太玄堂鍼灸院を応援してくださる家族、友人そして患者の皆様のお蔭だと思っております。

少しでも皆様方にお返しができるよう本年も精進したいと思っています。

また皆様にとって本年も良い年でありますよう、心よりお祈りいたします。

今年は小児鍼などの接触鍼のより一層のレベルアップを目指したいと思っています。

2020年1月1日 太玄堂鍼灸院 福田毅

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