「院長の独り言」年度別

「院長の独り言」を時系列でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

「院長の独り言」年度別

2020年7月~12月の「院長の独り言」

院長の独り言メニューへ戻る

『趣味の園芸 万葉の花「キキョウ」』(2020年9月)

NHKで『趣味の園芸 万葉の花』という番組が放送されていますが、たまたま見た「キキョウ」の回が面白かったです。

万葉集の歌の中に、「朝顔は 朝露負いて 咲くといへど 夕影にこそ 咲きまさりけれ」作者未詳(巻10・2104)というのがあります。
この歌の中の朝顔は今私達が頭に思い描くアサガオとは違う花なのだそうです。

現在私達が知るアサガオは、平安時代の初めに薬草として中国から日本に伝わったものです。
万葉集の頃は朝に美しく咲く花を種類を問わず朝顔と呼んだそうです。

ではこの歌に出てくる朝顔は何の花なのでしょうか?
ムクゲ、ヒルガオなど候補の花に関しては諸説あるそうですが、一番有力なのはキキョウだそうです。
キキョウは鑑賞用としても栽培されますが、薬草としても使われます。

ちなみにアサガオ、キキョウの東洋医学的な効能は、

牽牛子(ケンゴシ、アサガオの種子)性味:苦、寒。帰経:肺、腎、大腸。効能:行水通便、下気・消痰、殺虫消積。

桔梗(キキョウ、キキョウの根)性味:苦・辛、平。帰経:肺。効能:宣肺キョ痰、排膿消腫。

アサガオもキキョウもともに肺に働き、咳などの呼吸困難を改善します。

アサガオもキキョウも同じ呼び名だったことがあり、また効能も同じような効能があるということに、面白味を感じました。

△ページTopへ戻る

「月間『医道の日本』定期刊行休止」に思う(2020年8月)

1938年の創刊以来、長らく鍼灸業界をけん引してきた月間『医道の日本』が2020年7月号をもって定期刊行休止になりました。

近年はWEB上での情報発信が増大し、紙媒体の雑誌の市場が縮小する中、鍼灸業界自体の変化も影響していると思います。

『医道の日本』は元々は柳谷素霊が立ち上げ、弟子の戸部宗一郎に託したものです。

明治以降西洋医学中心となり東洋医学が衰退するなか、東洋医学復興運動がおこります。

漢方薬は矢数道明、大塚敬節が中心となり、鍼灸は柳谷素霊が中心でした。

柳谷素霊は東洋鍼灸専門学校という鍼灸の学校も作っています。

そんな先人達の「想い」によって作られた『医道の日本』の定期刊行休止に一時代の終わりを告げているようで、一抹の寂しさを感じます。

が、
これは新たなスタートだとも言えると思います。

先人達の「想い」を、今を生きている私達、鍼灸師一人一人が受け継ぎ、伝え、体現していく。

そのような新たなスタートに、私達、鍼灸師一人一人がしていかなければならない、と思います。

△ページTopへ戻る

『臓腑経絡学』(藤本連風、奥村裕一、油谷直著、アルテミシア)(2020年7月)

西洋医学において基礎となる学問は解剖学と生理学になります。
東洋医学において西洋医学の解剖学、生理学に相当する基礎的な学問が臓腑経絡学になります。

西洋医学の解剖学、生理学と東洋医学の臓腑経絡学は似ているようで大きく違います。
解剖学や生理学は内臓などの部分がどう働いているのか?
つまり部分に注視した学問です。

それに対して、東洋医学の臓腑経絡学は臓腑、経絡の変動によって身体がどのような表現をするのか?(これを蔵象といいます)
言わば臓腑、経絡の変動が身体全体にどのような影響を与えるのか?
つまり身体全体に注視した学問です。

臓腑は心、肺、脾、肝、腎の五臓と胃、胆、小腸、大腸、膀胱、三焦の六腑です。
経絡は正経十二経脈があり、その他に十二経別、十二経筋、十二皮部があり、奇経八脈があり、絡脈として十五絡、浮絡、孫絡があります。
非常に細かく分かれた精緻な体系です。

藤本先生の豊富な臨床経験と学問によって書かれた本書は深く東洋医学を学びたいと思っている鍼灸学校の学生さんにとって、必読の書だと思います。

△ページTopへ戻る

院長の独り言メニューへ戻る