「院長の独り言」年度別

「院長の独り言」を時系列でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

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2024年1月~6月の「院長の独り言」

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周易私論 2(2024年6月)

今回は火山旅について述べたいと思います。

外卦が火、内卦が山の卦が、何故「旅」と名付けられたのか。

火のコアイメージは、誰もが求める華やかな答え、ゴール。

山のコアイメージは、静かに止まっている。

外卦火、内卦山の卦のイメージは、遠くのゴールを目の前に止まっている、というもの。

おそらく商人か何かが、夜になり、野宿か或いは宿に泊まって、遠くの街の灯りを見ている、というイメージではないでしょうか。

なので、旅という卦には、レジャーの旅行のような楽しさというよりは、少し寂しさを伴っているようにも感じます。

卦辞は、旅小亨旅貞吉。と書かれています。

ゴールを前に一時的に止まっているので、少しくとおる。ゴール、答えが分かっているのでそれに向かって貞であれば吉。ということでしょう。

(爻辞の説明は今回は割愛します)

火山旅は、水山蹇の困難を前に足がすくんで動けない、とは異なります、目の前にあるのは困難ではなくゴール・お宝なので、同じく静かに止まっていてもニュアンスが異なります。

このように易の卦の名前や卦辞などから易を考察するのも楽しいですし、もっとシンプルに吉凶を占うのも易の楽しみの一つです。

吉凶も考えてみると難しく、例えば朝、仕事に行くときに雨が降ったとすると、濡れて風邪を引くかもしれないし、傘を持つ手間が増えるので凶とも言えますが、もし自分が農家で日照りが続いた後の雨なら恵の雨で吉とも言えます。

同じ事象でも立場によって、吉凶が変わることもあるでしょう。

周易は首卦が乾で、陽を尊いとし陰を卑しいとし、その体系は儒教の影響が大きいといえます。

実際、周易は儒教の経典、四書五経の筆頭です。

現在は失われてしまいましたが、帰蔵易は首卦が坤、連山易は首卦が艮であり、現在の周易とはだいぶ異なっていたと思われます。

老荘思想は堅強よりも柔弱であることを良しとしているので、もしかすると帰蔵易は老荘思想と似ていたかもしれません。

いづれにせよ、古代に思いを馳せ、古典と遊ぶのも楽しいものです。

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東洋医学に関するテレビ番組が放送されました(2024年5月)

今月、東洋医学に関する番組がNHKテレビで放送されました。

最新の科学的研究から東洋医学の治療効果のメカニズムの一端が解明され、大変興味深く拝見しました。

一つは、2024年5月16日(木)に放送された『あしたが変わるトリセツショー』。

ツボとは「不調に応じて体の表面に炎症が起きる場所」だというもの。

ツボの治療効果は、鍼を刺すことにより、脳血流が増加し、脳内で鎮痛物質「オピオイド」が分泌され、痛みをやわらげる効果。

凝り固まっていた筋膜のシワが伸び、筋肉を柔らかくし筋肉にたまった痛み物質を押し流し、凝りが軽減する効果。

の2つが考えられるというものでした。

もう一つは、2024年5月19日(日)放送の『NHKスペシャル「東洋医学を“科学”する~鍼灸(しんきゅう)・漢方薬の新たな世界~」』

漢方薬の治療効果には腸内細菌が大きく関わっているというもの。

鍼灸の治療効果には迷走神経などの自律神経を介して免疫などの作用に大きく働きかけているというもの。

鍼灸のそのような治療機序を応用して耳に電気刺激を与えて病気の予防に役立てようという研究がされているというもの。

等々様々な事例が紹介されていました。

どのような形であれ、東洋医学の良さを伝えてくれるこのような番組は、東洋医学の一端を担う我々鍼灸師にとっても、嬉しい限りです。

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周易私論(2024年4月)

易は人類の宝です、宇宙の様々な現象を64の物語り(構造パターン)として理解しようとするものだと思います。

活用しないのはもったいない、しかし、難解なために、なかなか内容を理解できません。

今回は、コアイメージで易を理解しようという私論であり、試論の紹介です。

易をコアイメージで理解するというのは、実は昔から有ります。

乾、兌、離、震、巽、坎、艮、坤の八卦に天、沢、火、雷、風、水、山、地という自然界の8つの現象が当てはめられています。

これが昔からあるコアイメージです、しかし現代では分かりづらいので、現代に合った分かりやすいコアイメージを提供しようというものです。

例えば、水雷屯という卦があります。

私の考える水(坎)のコアイメージは、解決しなければならない問題・困難・天敵となります。

私の考える雷(震)のコアイメージは、賑やかに動く、表に現れて動くとなります。

なので、コアイメージで水雷屯を考えると、目の前の問題・困難を解決しようと活発に動いている状態と考えられます。

屯の字そのものも、地中の種から芽が出て、地面から出ようとして出きらない、行き悩むという意味です。

まさに壁にぶつかって解決しようとしてもがいてる、困難な状態ということで、占いの方では4大難卦の一つとされています。

卦辞(卦に書かれている言葉)には、屯。元亨利貞。勿用有攸往。利建候。と書かれていますが、4大難卦なのに元亨利貞(おおいにとおる、ていによろし)とはどういうことか。

私の解釈はこうです、交通事故も自分が正しくても周りが悪くて起こる場合もあるし、周りには問題が無くて自分が悪くて起こる場合もあるように、元亨(おおいにとおる)は始めから道には障害物が無く通っている、つまり自分がこじらせている。利貞(ていによろし)は自分がこじられているのだから本来の天意に沿っていれば滞りなく進む、勿用有攸往(ゆくところあるにもちいるなかれ)は自分で行動するな、利建候(こうをたてるによろし)は誰か適任な他の人に任せよ、ということだと思います。

あと、卦には6つの爻が有り、それぞれに言葉が書かれています(爻辞)。

この爻をどのように解釈するのかも難しいのですが、私は物語の6つの展開の可能性として考えています。

ベタな例ですが、田舎からロックスターを目指して上京した若者が一生懸命音楽活動をしているが売れない、という物語があったとして、これは屯の物語としても捉えることができると思います。

ここでは違いが分かりやすい4爻と上爻で説明します。

屯の4爻の爻辞には、乗馬班如。求婚媾往吉。无不利。と書かれています。

私の解釈はこうです、馬に乗って急ぐように活動を頑張っているがなかなか進まない。敵だと思っていた困難から仲良くしたい(結婚)を申し込まれる。そのまま行動すれば吉。スパッといかないことはない。と、すぐにでも売れるような最高の展開もあれば。

屯の上爻の爻辞には、乗馬班如。泣血漣如。と書かれています。

私の解釈はこうです、馬に乗って急ぐように活動を頑張っているがなかなか進まない。血の涙が連なって流れている。という、最悪な状況の展開もあります。

物語に一回変換することで、目の前の現実の事象を客観視することが出来るのも易の効用の一つではないかと思います。

いづれにせよ、易の理解への一助になれば幸いです。

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『カウンセリングの理論』(國分康孝著、誠信書房)(2024年3月)

本書『カウンセリングの理論』はカウンセリングについての様々な理論をカタログ的に概括しているので、私のようなカウンセリングをよく知らない者にとっても、大いに参考になります。

紹介されているのは、精神分析理論、自己理論、行動主義、特性・因子理論、実存主義的アプローチ、交流分析、ゲシュタルト療法、論理療法です。

個人的に面白かったテーマは幾つかあるのですが、一つは精神分析理論の中のリビドー発達的見地というものです。

この理論では、赤ちゃんの誕生から離乳までを、口唇期と名付けています。

この理論の面白いところは、赤ちゃんからの乳の求めを親が拒否することは、単にお腹が空くとか栄養が不足するということだけでなく、愛情の拒否につながるというものです。

ですので、親の乳の拒否が多すぎると、慢性の愛情飢餓、人生に対してネガティブになりがち、逆に特に離乳期に親の乳の拒否が少なすぎると、わがままな人間、感謝を知らない人間になりがちです。

なので、与えるべき時期には気前よく与えて、離乳の時期には分離不安を感じさせないように徐々に離乳させることが大事になります。

授乳を含め食体験は愛情体験でもあるので、これがうまくいかないと甘えん坊や酒飲みになりがちとされています。

昨今食事シーンをメインにしたドラマが数多く放送されているようですが、食体験は愛情体験だと考えると現代の世相を反映しているのかなと感慨深いものがあります。

また、この理論では離乳から入園ぐらいの時期、トイレの訓練の時期を肛門期と呼んでいます。

トイレの訓練はあらゆるしつけの原点となるもので、トイレに行くまで我慢させるのがその要点となります。

トイレのしつけが厳しすぎると、四角四面、融通の利かない人間になりがち、ケチな人間になりがちとされています。

本書では、複数の理論が紹介されていますが、一つの理論で当てはまるケースもあれば当てはまらないケースもあるでしょう、複数の理論を持つということは複数のものさしを持つということですので、一つのものさしで当てはまらなければ他の当てはまるものさしを使うということです。

複数のものさしを持つメリットはあると思います。

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旧正月と小正月(2024年2月)

明治時代に、暦が新暦(太陽暦)に変わる以前は旧暦(太陰太陽暦)でした。

旧正月とは旧暦の正月のことで、二十四節気の雨水(新暦2月19日頃)の直前の朔日(新月)が旧暦の元日となります。

新暦では年によって1月22日〜2月19日までの間を移動することになります。

小正月は新年最初の満月つまり旧暦1月15日のことでした。

中国から伝わってきた旧暦(太陰太陽暦)は、新月から新月までを基準にして1ヶ月としますが、それ以前の日本では満月から満月までを1ヶ月と捉えていました。

中国と同じように、旧暦1日1日(新月)を正月とするようになってからも、満月の1月15日を「小正月」と区別して呼び、原始的な日本人の感覚による新年のスタート「小正月」は受け継がれていきました。

現在では新暦(太陽暦)の1月15日が小正月とされています。

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2024年年始のご挨拶(2024年1月)

あけましておめでとうございます。

本年も無事にお正月を迎えることができました。

これもひとえに太玄堂鍼灸院を応援してくださる家族、友人そして患者の皆様のお蔭だと思っております。

少しでも皆様方にお返しができるよう本年も精進したいと思っています。

本年も皆様にとって良い年でありますよう、心よりお祈りいたします。

2024年1月1日
太玄堂鍼灸院 福田毅

2024年年賀状

令和6年能登半島地震について

能登半島地震により犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様、また、ご家族・関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、被災者の救済と被災地の復興支援のためにご尽力されている方々に深く敬意を表します。一日も早い復興、皆様のご健康、平穏な日常が取り戻せますよう心よりお祈り申し上げます。

北海道庁の公式ウェブサイトに、「義援金」「物資の支援」「ボランティア支援」など、能登半島地震の被災地支援に関する情報が掲載されています。詳細は「令和6年能登半島地震の被災地への支援について」をご覧ください。

また、コープさっぽろでは能登半島地震で被災した人たちが一日でも早く日常生活を取り戻せるようにと、9日から北海道内にある108店舗すべての店内に災害支援募金箱を設置しています(※期間:2024年1月9日(火)~2月29日(木))。詳細はコープさっぽろ公式ウェブサイト「令和6年能登半島地震 災害支援募金のページをご覧ください。

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