「院長の独り言」ジャンル別

「院長の独り言」をジャンル別でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

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「院長の独り言」ジャンル別〜鍼灸・漢方・東洋医学・東洋思想・気功編

鍼灸・漢方・東洋医学・東洋思想・気功編 ―2017年-2019年―

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立秋(2018年8月)

今年の夏は本当に暑いですね。
札幌は8月に入って朝晩は大分涼しくなりましたが、全国的にはまだまだ暑い日が続くようです。

さて、8月7日は立秋でした。
立秋は、「二十四節気の一つ。太陽の黄道が135度の時。暦の上ではこの日から秋になるが、実際には残暑が厳しい時期。」とされています。
立春もそうですが、8月という謂わば暑さ(夏)のピークに立秋があり、2月の寒さの(冬)のピークに立春があるのが子供の頃から不思議でした。
本来暦は人々の生活と自然とを合わせるためにあるのに、実際の自然と一致しないのは変ではないのか?

最近は立春は春が生まれる日、立秋は秋が生まれる日ではないかと考えるようになりました。
陰陽の法則に「陰極まれば陽となり、陽極まれば陰となる」というのがあります。
太極図を思い浮かべると分かりやすいですが、陰が最大の時、陽が最少で、だんだん陽が増えていきだんだん陰が減っていきます。逆もしかりで陽が最大の時、陰が最少で、だんだん陰が増えていきだんだん陽が減っていきます。
同じように夏が最大の時、秋が生まれ、だんだん秋が成長して増えていき、夏が減っていくと昔の人は考えたのかもしれません。

季節はデジタルではないので、その日から急に秋に切り替わるというのは考えてみればおかしな話で、アナログ的にだんだんと、ちょっとずつちょっとずつ変化していくものです。
立秋に秋が生まれ、だんだんと秋が成長して秋らしくなって行く、やがて秋が真っ盛りの時に冬が生まれ、冬の成長に伴い秋は衰退していく。
そう考えると暦と自然とが一致するように思えて納得がいきます。

ちなみに、黄道とは地球から見て太陽が地球を中心に一年かけて運行する経路です。
西洋占星術はこの黄道を十二等分して星座を配置したものです。
話は飛びますが、同じように白道というものがあり、これは月が地球の周りを一年かけて運行する経路です。
この白道を28等分したものが28宿と言われるもので、宿曜術などの占いで使われます。

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古医方(2018年4月)

古医方は古方派ともいはれ、江戸時代の漢方医学の流派のひとつです。

それまでの江戸時代の医学の中心である宋元以降の医学理論ではなく、唐以前の医学特に『傷寒論』『金匱要略』を中心にし、親試実験(自ら試み、事実によって確かめる)を重んじました。

古医方は名古屋玄医を嚆矢として後藤艮山、香川修庵、山脇東洋、永富独嘯庵、吉益東洞などを輩出しました。

吉益東洞は人体解剖には批判的な立場でしたが、山脇東洋は『蔵志』という人体解剖の本を著し、後に『解体新書』を著す杉田玄白などの蘭方医達に影響を与え西洋医学の先鞭となりました。

医学史の本などでは、それまでの陰陽五行という難解・抽象的理論が先行した空理空論から親試実験という科学の芽生えが古医方によって起きたがまだ十分ではなく本当の科学が日本で起こるのは西洋医学の導入を待たなければならなかった、というようなことが書かれていることが多いです。

私の個人的な見解としては、古医方以前の日本の医学(後世派)も十分優れた理論を持ち、決して空理空論だとは思いませんが、それまでの理論を運用するうえで上手くいかない場合もあっただろうとは思います。

それまでの理論だけではどうしても如何様にも取れうる曖昧さが残る部分があり、古医方家達は処方するうえで確たるものが必要だったのだと思います。

そこで古医方家達が重要視したのが方証一致であり腹診だったのだと思います。

方証一致(方証相対)は鍵と鍵穴の関係に例えられますが、これこれの症状があればこの漢方薬というふうに患者の症候群によって処方が規定されるものです。

また腹診は古医方以前からあったものですが、古医方家達に腹診がより重要視されていきます。

腹という体表に現れた情報を手によって確かな手応えとして(もちろんそれなりの熟練は必要ですが)得られるというのは診立てを確実にする為の一つの方法といえます。

現代に生きる我々鍼灸師が古医方から学べるものがあるとすれば、体表の情報を手で探る技術をもっと重要視することかもしれません。

手で探った確実な情報が診立ての確証となると思います。

我々鍼灸師は体表観察、指頭感覚の技術をもっと磨いていかなくてはならないと思います。

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易の知恵(2018年3月)

易にはいろいろな知恵が書かれています。

その中で根本的な知恵のひとつが地天泰の卦です。

易者の看板にもこの卦が書かれていますが、天が下り地が上る、天地陰陽が交流するという卦です。

例えるなら、会社でいえば社長が社員の目線まで下りてきて話を聞き、社員が上司に積極的に意見を言う感じです。

その反対なのが天地否の卦で、天が上り地が下り天地陰陽が交流しない卦です。

先ほどの会社で例えるなら社長が威張っていて社員に目もくれず、社員も上司に対してそっぽを向いている状態です。

これを別の卦でいえば風雷益と山沢損となります。

風雷益は天地否の上の一陽が下に降りたもので、先程の例でいうなら社長と社員がお互いにそっぽを向いていたのが、社長の方から社員に目を向け胸を開いていくというものです。

山沢損は地天泰の下の一陽が上に登ったもので、社員が上司に改革案を進言するようなものです。

卦名は損ですがマイナスなものではなく、この卦の説明で「損して得取れ」とよく言われますが、先ず与えよということです。

これらの卦は易はいわゆる温情主義的な思想を持っていることを示していると思います。

人の生き方として「仁」を教えの中心にした孔子の儒教において『易経』が経典の一つとされたのも易の温情主義的な面があったためと思います。

しかし易はそんな温情主義的な面ばかりではありません。

火雷噬ゴウという卦があります、例えるなら上と下の歯の間に硬いものがあり邪魔しているというものです。

その卦辞は「噬ゴウ亨利用獄」で障害物は排除しろという厳格主義的なものです。

西洋では『易経』は『変化の書』と呼ばれています。

易はTPO、状況に応じて臨機応変に対応する柔軟さも教えています。

方円に随う水を一つの理想とした老子の道教においても『易経』が経典の一つとされたのは、この様な易の状況に応じて臨機応変に対応する柔軟さがあるためだと思います。

このように東洋思想(中国思想)の2大思想の(一見相反するように見える)儒教と道教のどちらにおいても『易経』が経典とされており、易の知恵が間違いなく東洋思想の根幹の一部を形作っているのだと思います。

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象数と蔵象 〜易学を学び東洋医学の理解を深める〜(2018年2月)

易学に象数という言葉があり、東洋医学においても同じような言葉として蔵象という言葉があります。

象数の象というのは外側に現れるさまざまな現象のことで、数は「かず」なのですがここでは卦のことです。

卦の出し方は50本の筮竹から1本を太極として抜き、残りの49本を無作為に左手(天)と右手(地)に分け、右手のものをテーブルに置き、そこから1本(人)を左手に加えて、その左手の本数から8つずつ払っていきます。そして8つで払えずに余った数によって八卦が決まります。

ちなみに余りが1ならば乾、2ならば兌、3ならば離、4ならば震、5ならば巽、6ならば坎、7ならば艮、余りが0ならば坤となります。

つまり数と八卦は同義といえます。

易学の立場では森羅万象、世界の全てが八卦乃至それを敷衍した64卦で表現できることになっています。

しかし実際に、例えば占いなどで卦を出した時にそれをどのようにして現実世界と結びつけて解釈するのか、この大きな問題の解決手段の一つとして、卦に現実世界の事物や現象を結び付ける作業が象数ということになります。

つまり本質(卦)と現象(象)の問題で、様々な現象は表層的なもので本質である八卦に帰一する。

東洋医学の蔵象も同じで、蔵は体の隠れたもの、つまり内臓、五臓六腑で、象は体の外に現れる現象です。

つまり体の外に現れる現象は生理的であれ病理的なであれ、すべて内臓(五臓六腑)の状態によるものである。

そこから体の外に現れる現象を考察することにより、体の中、内臓(五臓六腑)の状態を知ることができるし、またこのことから表層的な表に現れる現象に振り回されることなく本質に注視することの重要性を示しているともいえます。

この様に易学を学ぶことは東洋医学の理解を深めることにもつながると思います。

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易(2017年12月)

易というと、当たるも八卦当たらぬも八卦という占いで有名ですが、易にはもう一つ、人が生きるうえでの指針(生き方)を示す役割もあります。

これを義理の易といいます、儒教(孔子が人の生き方を説いたもの)の経典に四書五経がありますが、この五経の筆頭は『易経』です。

ちなみに四書は『大学』『中庸』『論語』『孟子』、五経は『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』です。

いずれにしても易は宇宙のリズム、宇宙の法則を陰陽によって表しているものといえ、それを未来予測(占い)として活用するか、人生の指針として活用するかということになります。

東洋医学においても易による陰陽法則を利用しており、それを専門にする学問を医易学といいます。

易を簡単に説明すると、陰陽の3つの組み合わせで八卦を表し、八卦を2つ組み合わせた64の卦で世界を表します。

ちなみに八卦は乾(天)、兌(沢)、離(火)、震(雷)、巽(風)、坎(水)、艮(山)、坤(地)です。

このなかで、乾(天)と坤(地)の組み合わせであれば、天地否と地天泰があります。

易を理解する手掛かりとして卦の名前や卦辞・爻辞などを参考として理解するのが一つの方法になります。

卦辞・爻辞は『易経』に書かれている文章ですが、分かりやすく例えると、おみくじを引いたときその紙に書かれている文章のようなものです。

例えば陽が3つでできている乾を2つ組み合わせて出来る乾為天という卦があります。

これは陽が6つで出来ています。

この6つの組み合わせを爻と呼び、下から初爻、二爻、三爻、四爻、五爻、上爻となります。

乾為天の初爻の爻辞は、潜竜、用いることなかれ。

分かりやすく例えると、新入社員に新しいプロジェクトのリーダーを任せるようなもので上手くいかない。

竜なのでそれなりの実力はあるが、皆に認知されていない、信頼されていない状態で時を待たなくてはならない。

次の二爻の爻辞は、見竜田にあり、大人を見るによろし。

これはそのコミュニティー(田)に実力を認知されてきたということで、引き上げてくれる人脈と出会うと良いということです。

乾為天は、竜の例え話で初爻から上爻まで書かれています。

ちなみに最後の上爻の爻辞は、亢竜悔いあり。

登り詰めた竜はあと落ちるだけ、驕る平家も久しからず、栄枯盛衰ということです。

易の思想は奥深く深遠なものなので、なかなか理解できませんが、一つずつ紐解いていくと味わい深いものがあると思います。

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NHKスペシャル シリーズ「人体」(2017年11月)

現在NHKスペシャルで放映しているシリーズ「人体」、すでに第2集まで放送されましたが、来年3月までほぼ月一回のペースで放送され、次回は12月3日放送予定です。

この「人体」シリーズでは新たな科学的知見によって、これまでとは異なる「人体は巨大ネットワークである」という新しい人体観を教えてくれています。

私が学校で学んだ頃の人体の(西洋医学的な)イメージは、国でいえば中央集権国家のようなもので脳が中心で体のあちこちに指令を出しているというものでした。

ところが最新の科学的知見で、「サイトカイン(細胞間情報伝達物質)」や「マイクロRNA」など、さまざまな名前で呼ばれる物質を、脳以外のあらゆる臓器や細胞が出し、情報をやりとりしており、「人体は巨大ネットワークである」というものでした。

国でいえばある意味、地方分権でそれぞれが協調しあって働いて全体性を保っているというものでしょう。

この話を聞いて私は東洋医学の五臓の考え方と近いのではないかと思いました。

東洋医学では心が君主の官として一番大事なものとしているのですが、心肺脾肝腎のそれぞれが相互に働き、協調しあって全体性を保っています。

五行的にいえば相生相克という表現になりますが、一つの臓は相生相克により他の4つの臓に繋がっています。

これまでの科学は人体を臓器から細胞へ、さらに分子の世界へと、どんどん細かなパーツに分類し、一つ一つの「部品」を調べることで、人体の理解を深めてきました。

そして、その「部分」を対象とする研究から、部分同士の「関係性」を対象とする研究に変わりつつあるということだと思います。

その新しい研究から「人体は巨大ネットワークである」という東洋医学と近い人体観が生まれたのはとても興味深い事だと思いました。

NHKスペシャル シリーズ 人体 神秘の巨大ネットワークの放送日及び放送予定
  • プロローグ 神秘の巨大ネットワーク 2017年9月30日放送
  • 第1集 腎臓が寿命を決める 2017年10月1日放送
  • 第2集 驚きのパワー!脂肪と筋肉が命を守る 2017年11月5日放送
  • 第3集 発見!骨が若さを呼び覚ます 2017年12月3日放送予定
  • 第4集 アレルギーの鍵は腸にあり 2018年1月7日放送予定
  • 第5集 徹底解剖!ひらめく脳の秘密 2018年2月4日放送予定
  • 第6集 生命誕生・あなたを生んだミクロの会話 2018年3月18日放送予定
  • 第7集 人体は謎に満ちている 2018年3月25日放送予定

詳しくは「NHKスペシャル シリーズ 人体 神秘の巨大ネットワーク 公式ウェブサイト」をご覧ください。

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タイプ論(2017年8月)

伝統的な思惟方法の一つに世界をいくつかのパターンに分けてそれぞれの関係性で説明するというのがあります。

この思惟方法を人間に当てはめて考えるとタイプ論ということになります。

卑近な例だと血液型占いがそうです。

A型はまじめ、O型はおおらか、とかのやつですね。

血液型占いの是非はともかく、もう少し学術的なものでは、エゴグラムやエニアグラムなどがあります。

それぞれ心の働きを5つや9つに分類しそれぞれの過多によって性格を説明しようとするものです。

面白いところでは類人猿診断というのもあります。

オラウータン(単独行動で職人気質)、チンパンジー(ムラッ気はあるがリーダーシップがある)、ゴリラ(秩序を守る物静かなタイプ)、ボノボ(愛嬌があってお互いの気持ちを大切にする)の4タイプに人を分けて、チームで仕事をするときはすべてのタイプがそのチームにいると、チーム内のコミュニケーションが良くとれ、チームの働きが良くなるというものです。

東洋思想においては、陰陽や五行などによって世界を分析し説明していました。

ちなみに、五行の分類の一例として、『霊枢』の陰陽二十五人篇によると、人を五行に分けたそれぞれの容姿について述べています。

  • 木形の人:頭は小さく、顔は長く、肩と背は広く、身体は真っ直ぐ、手足は小さい。
  • 火形の人:背脊は広く、面は痩せ、頭は小さく、肩背髀腹の発育は良く、手足は小さい。
  • 土形の人:丸顔で、頭は大きく、背背は豊かで健康美があり、腹は大きく、下肢は大腿から足脛にいたるまで壮健で、手足は小さく、肌肉は豊満で、全身の上下それぞれ均整がとれている。
  • 金形の人:顔が四角で、頭が小さく、背背が小さく、腹が小さく、手足が小さく、足首から下が硬く丈夫。
  • 水形の人:頭が大きく、頤が広く、両肩は小さく、腹部は大きく、手足を動かすことを好む。

私達が古典を学ぶには、昔の人がどの様にして、ものを見、考えたかというところも知る必要があるように思います。

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証(2017年6月)

証というのは東洋医学において一番大事なもので、また一番難しいものでもありますが、簡単に言うと東洋医学的な病の診立てです。

今回は「証」という漢字を考えてみたいと思います。

手元の漢和辞典『学研漢和大辞典』(藤堂明保編、学習研究社)で調べてみました。

(1)「證」

@あかす。実情を上司や役所に申し上げて登録する。このとおりであると、ありのままを上司や役所に申し立てる。あかしをたてる。証言。

A事実をのべてうらづける。証明。論証。

Bあかしをたてる書類や物件。物証。

病気であることをうらずける(※うらづけるに修正)実際の病状。症。

Dさとる。さとり。

(2)「証」

@いさめて誤りをただす。

通常使われる「証」は「證」という旧字の新字です。

その他に「証」という字もありました。

「證」は「言」と「登」の会意兼形声文字で「事実を上司の耳にのせる」「上申すること」転じて「事実を申しのべて、うらづける」の意となります。

「証」は「言」と「正」の会意兼形声文字で「意見を述べて、あやまりをただすこと」となります。

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春は青(2017年4月)

4月は入学式、桜の開花(北海道の桜の開花はゴールデンウィーク頃になりますが・・・)などもあり、より一層、春を感じさせる季節ですね。

春は五行では「木」となります。

五行は、木・火・土・金・水の五つですが、それぞれ色が配当されています。

木は青、火は赤、土は黄、金は白、水は黒となります。

なので、春は青色ということになります。

青春という言葉や四神のひとつ東方の神、青龍(木は東方にも配当されている)はそこから来ています。

ちなみに古代においての青色とは現在の青色では無かった様なんですね。

現代においても若葉のことを青葉と言ったり、緑色だけど青信号と言ったりその名残がありますが、古代においては現在の緑色を青色と言っていた様なんですね。

そうすると春が青というのも理解出来ますね。

春になると草花が文字通り青々と生えてくる。

なので、春は青である。

つまり、古代における青色は現代の緑色も含んだ幅広い寒色系の色のことだったんです。

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アンチエイジング(2017年3月)

アンチエイジングという言葉がよく聞かれるようになって久しいですが、アンチエイジングとは「抗老化」と訳され、老化に抵抗すること、つまり「老化による身体の機能的な衰えを最小限にして、いつまでも若々しく元気にいようとすること」です。

実践としては栄養や運動の指導、意欲向上や心身ストレスを減らすことが重要性であるとされています。

東洋医学としてはこの問題をどう捉えているかというと基本的には元気が段々少なくなっていくことにより身体の機能的な衰えが起こると考えています。

東洋医学においては元気のエンジンが先天の元気と後天の元気の二つあります。

後天の元気は五臓の脾の臓が中心で、飲食物から生みだされた元気です。

先天の元気は五臓の腎の臓が中心で、生まれながらに持っている元気です。 

先天の元気はちょっと分かりづらいかもしれませんが、植物の種をイメージしてみてください。

植物の種は外からのエネルギーを得ずに発芽し根を出します、ある程度根が張り葉が育って外からエネルギーを得るまでは種が本来持っているエネルギーが必要です。

人間も赤ちゃんがオギャーと生れて、お母さんの母乳で育ちますが、いかに母乳が栄養価が高いとはいえ、短期間にあれだけの成長をするには、植物の種の様に人間にも生まれながらに持っている元気が必要と東洋医学では考えます。

生まれてからある程度体が育ち、飲食物から後天の元気が十分に生み出されるまで、先天の元気のエンジンはフル稼働ですが、その後は後天の元気のエンジンがメインになります。

しかし先天の元気のエンジンもある一定出力し続けているので、やがて先天の元気が不足するようになり、それが老化による身体の機能的な衰えとして現れます。

そのため東洋医学では先天の元気を補いつつ(限度はありますが食べ物などによってある程度補えます)使いすぎない様にすることが、東洋医学的なアンチエイジングになります。

話は脱線しますが、個人的にはアンチエイジングという言葉の響きには少し違和感があります。

アンチエイジングが目指す効果にはもちろん異論はありませんが、アンチエイジングという言葉の響きの奥には老化という自然の摂理を忌むべき対象物として捉える意識があるように思います。

東洋医学というものは「自然に逆らわず、人を幸せにする技術」であります。

エイジング、歳をとることは、忌むべきものとして捉えるのではなく、人間をも含んだ自然の摂理であり、受け入れていくべきものだと思います。

その中でどの様にエイジング、歳をとっていくのかが大事だと思います。

アンチエイジングではなく、何かもっと別の言葉、例えばグットエイジング、「良い歳のとり方」、などの方が個人的にはしっくりくるような気がします。

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