「院長の独り言」年度別

「院長の独り言」を時系列でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

「院長の独り言」特別編

橋本七度煎について

橋本七度煎の名前の由来は、初め熱湯で五度振り出し、その後二度煎じることで、都合七度まで服用できるところから来ているそうです。

一説には信州中村(現・長野県飯田市)の代官が創製したといわれています。かつては中部地区で数社が○○七度煎というのを造っていましたが、今は橋本七度煎のみになったそうです。ちょっとさみしいですね。

現在橋本七度煎を造っている橋本七度煎(株)は明治元年頃から現在まで漢方薬を造っています。

橋本七度煎は通常の内服用のものと主に銭湯などに出している入浴用のものがあり、内服用と入浴用では入っている生薬が少し異なっています。

愛知、三重、岐阜などでは現在も根強い愛好者がいて主にカゼ薬として使われ年間18万箱売れているそうです。 それだけ地域に根ざしているということは素晴らしいことですね。

内服薬は丁字(チョウジ)、蒼朮(ソウジュツ)、厚朴(コウボク)、カッ香、木香(モッコウ)、桂皮(ケイヒ)、山奈(サンナ)、甘草(カンゾウ)、川キュウ、大茴香(ダイウイキョウ)、黄ゴン、紅花、阿仙薬(アセンヤク)の13の生薬が入っています。

効能は、感冒、頭痛、のぼせ、食不振、暑気あたり、血の道、神経痛となっています。

個人的に面白いなと思ったのは、葛根湯、桂枝湯、麻黄湯など通常の漢方の風邪薬(カゼ薬)は解表薬が中心なのに橋本七度煎は解表薬が入っていないのです。

せいぜい解表に働きそうなのは蒼朮、桂皮、カッ香ぐらいですが、どれも中薬学の分類では主な働きは解表ではありません。

解表薬とは簡単にいうと発汗薬ですね。カゼのとき汗をかかせて治すというのが漢方のセオリーのひとつです。

調べてみると橋本七度煎に使われている生薬の主なものは散寒薬でした。散寒薬は基本的には身体の中の冷えを取る薬です。

また散寒薬は生薬の種類によっては身体の元気を助ける働きを持つものもあります。

通常の漢方の考えではカゼの場合、解表薬を主体に配合するのですが、橋本七度煎では散寒薬を主体として身体の中の冷えを取り、元気を助けることによってカゼを治していると思われます。

本当に面白い薬ですね。入浴剤に使われるのも納得します。

私は鍼灸が専門で漢方薬は専門ではないのでこの程度の分析ですが、どなたか漢方薬に詳しい方にもう少し細かく分析をして教えていただければと思います。コメントお待ちしております。

橋本七度煎の入手について

橋本七度煎の入手につきましては、橋本七度煎株式会社に直接お問い合わせいただきますようお願いいたします。

橋本七度煎株式会社

●住所:愛知県知多郡南知多町大字内海字北向100

●TEL:0569-62-0053

橋本七度煎を購入可能な楽天ショップ

楽天に出店しているドラックストアや薬局でも購入可能なようですのでご確認ください。

ゲンキーヒマールティーのマルヱ薬局
橋本七度煎の銭湯

札幌市西区に「文の湯」という銭湯があります。薬湯風呂があり「橋本七度煎」を使うこともあるようです。興味のある方は「文の湯」さんにお尋ねください。他にも薬湯風呂のある銭湯では、「橋本七度煎」を使うところがあるかもしれませんので、興味のある方は聞いてみてはいかがでしょうか。

「文の湯」
●〒063-0005 北海道札幌市西区山の手5条2丁目2-24
●011-621-6846

名古屋方面や長崎市内の銭湯では、薬湯風呂の素材として利用しているところがあるようです。名古屋や長崎に旅行に行かれた際は、「橋本七度煎」の薬湯風呂に浸かるのもいいかもしれませんね。

「カゼ」の関連ページ

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