「院長の独り言」年度別

「院長の独り言」を時系列でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

「院長の独り言」年度別

2014年1月〜6月の「院長の独り言」

夏は火邪・暑邪と心の臓にご注意を(2014年6月)

6月になりました。

リラ冷えも過ぎ、札幌もようやく夏らしくなってきました。

夏は六気(風・寒・暑・湿・燥・火)では火・暑の影響を受けやすい季節であり、五臓では心の臓の季節でもあります。

火邪・暑邪としては以下のようになります。

  • 陽邪で熱性、上炎する(熱症状で上部にでやすい)
  • 傷津耗気しやすい(身体の中の水や気を損耗する)
  • 暑は多くは湿を挟む(湿邪と熱邪が合わさり易い)
  • 火は生風動血しやすい(けいれん・こわばり・出血などしやすい)
  • 火は瘡瘍を発しやすい(できもの・腫れものができやすい)
  • 暑邪は外邪のみであるが、火邪は外邪と内邪がある(火邪は体外環境だけでなく体内環境のアンバランスからも生じる)

※火邪と暑邪は同じ陽熱の邪で違いが難しいですが、火邪は夏の前半で熱邪が主体であり暑邪は夏の後半で湿熱の邪であることが多いです。

この夏の時期は火邪・暑邪心の臓に少し気を配って生活することがとても大事になります。

『鍼灸雑記』(吉元昭治著、医道の日本社)(2014年5月)

本書鍼灸雑記 』は2011年に出版された本で、第一部と第二部とに分かれています。

第一部は中国医学を理解するために、その背景として中国の伝統思想、なかんづく道教思想が重要だとしています。道教の経典である『道蔵』から鍼灸や東洋的身体観に関する部分を述べたり、中国や日本の養生書から東洋的身体観を述べています。

第二部は経絡理論、足底や耳鍼や頭鍼などの反射理論、サイバネティクスやフラクタルなど鍼灸に応用できそうな現代的理論、MP鍼やイオンパンピングなどの鍼治療などが紹介されています。

本書は鍼灸の理論を考える上での良い参考書のひとつだと思います。

何をするにも、ものの見方・考え方は非常に重要で、我々のように伝統鍼灸を中心に考える者にとって、東洋的ものの見方・考え方、東洋的な身体観を身につけるのは必須であります。本書の第一部はその参考になるものでした。

患者さんの身体は人それぞれ、千々万々です。千々万々の変化に対応するために色々な引き出しを持つのも大切です。本書の第二部はその参考になるものと思います。

個人的には「あとがき」で著者が『道蔵』のなかの医学的経典目録を執筆中とのことでしたので、早く見てみたいと思いました。

春の食べ物(2014年4月)

4月になりました。

今回は春の食べ物を考えてみたいと思います。

春の食べ物で、個人的にぱっと浮かぶのは、タケノコ、春キャベツ、さやえんどう(えんどう豆)、はまぐりでしょうか。

今回はそれらの食べ物を『本草綱目』ではなく『実用 中医薬膳学』で現代中医学的に調べてみました。

食物名四気五味帰経効能
タケノコ甘、寒胃、大腸清熱化痰、解毒透疹、滑腸通便
キャベツ甘、平胃、腎補中益気
さやえんどう
(えんどう豆)
甘、平脾、胃健脾益気、利湿、生津、通乳、解毒
はまぐり甘、鹹、寒肺、胃、肝滋陰利水、化痰軟堅
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参考文献およびその他薬膳・東洋医学関連書籍
実用 中医薬膳学基本としくみがよくわかる
東洋医学の教科書
薬膳素材辞典
―健康に役立つ食薬の知識
辰 巳洋著平馬 直樹、浅川 要、辰巳 洋監修辰巳 洋編集
東洋学術出版社ナツメ社源草社

春は風邪(フウジャ)と肝の臓にご注意を(2014年3月)

もう3月に入りました。

札幌はまだ寒いですが、日差しは大分春らしくなってきました。

春は六気(風・寒・暑・湿・燥・火)では風邪(フウジャ)の影響を受けやすい季節であり、五臓では肝の臓の季節でもあります。

風邪の特徴としては以下のようになります。

  • 陽邪である(身体の上部・皮膚などの外部に向かいやすい)
  • 遊走性(部位などが変化しやすい)
  • 動を主る(けいれん、ひきつり、ふるえ、めまいなど)
  • 百病の長である(他の邪と一緒になって身体を襲う)
  • 肝と相応する(肝の臓と関係が深い)

この春の時期は風邪肝の臓に少し気を配って生活することがとても大事になります。

冬の食べ物(2014年1月)

2月になりました。

暦の上では立春を過ぎ「春」となりましたが、まだまだ北海道は寒い冬であります。

今回は冬の食べ物を考えてみました。

冬の食べ物といって、個人的に思い浮かぶのは、長いも、レンコン、大根、みかんなどですが、今回はこれらの食べ物の東洋医学的な働きを見てみたいと思います。

今回も『本草綱目』から見てみます。

食物名気味(性質)主治(主な働き)
長いも(薯蕷)甘、温、平、無毒身体の弱りを補う、寒熱の邪気を除く、脾胃を補い、気力を益す、肌肉をます、長く服すと耳目を聡明にし身体を軽くし寿命をのばすなど
レンコン(藕)甘、平、無毒熱渇に効く、血の滞りをとる、消化をたすける、酒毒をとる、肌に良い、長く食すと人を元気にするなど
大根(莱フク)根は辛・甘
葉は辛・苦、温、無毒
ガスを出やすくする、消化を良くする、痰をなくす、関節を良くする、顔色を良くする、邪熱をとるなど
みかん(橘実)甘、酸、温、無毒甘なるものは肺を潤し、酸なるものは痰を集める。消渇を止め、胃を開き、胸のつかえを取り除くなど

食物名のカッコ内(“長いも”の“薯蕷”など)は『本草綱目』の記載によるものです。

『本草綱目』で使われる用語は、通常使われる日本語とは異なる用語も多いですし、例えば大根などは現代中国語とも異なります。

『本草綱目』を直接参照される方はその点も注意されると良いかと思います。

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参考文献

『本草綱目』(安微科学技術出版社)

年始のご挨拶 〜冬は寒邪と腎の臓にご注意を〜(2014年年始)

あけましておめでとうございます。

本年も無事にお正月を迎えることができました。

これもひとえに太玄堂を支えてくださる家族、友人そして患者の皆様のお蔭だと思っております。

少しでも皆様方にお返しができるように本年も精進したいと思っています。

さて、年も明けて寒い日が続きますが、今月、1月20日は大寒で、暦の上ではこの頃が一番寒いときになります。

東洋医学では気候が人体に与える影響は大きいもので病気の原因にもなると考えられています。

人体に与える気候の影響は具体的には風・寒・暑・湿・燥・火の6つに分けられ、冬はこの中の寒が大きなウエイトを占めることになります。

寒(寒邪)の特徴は以下のようになります。

  • 寒邪は陰邪で陽気を傷りやすい(寒邪は陰陽で分けると陰の邪なので陽の気を損傷しやすい)
  • 寒邪は収引する(寒邪は経脈を拘急させ筋肉をひきつらせる)
  • 寒邪は凝滞する(寒邪は気や血を凝滞させる)
  • 寒邪は腎と相応する(腎は寒邪の影響を受けやすい)

この冬の時期は寒邪腎の臓に少し気を配って生活することがとても大事になります。

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