「院長の独り言」年度別

「院長の独り言」を時系列でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

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2014年7月〜12月の「院長の独り言」

七味唐辛子(2014年12月)

七味唐辛子はうどん・そばなど多くの料理の薬味として使う私たちに身近な調味料です。

この七味唐辛子、始まりは江戸時代になります。

江戸時代に徳右衛門が両国薬研堀にて漢方薬を参考にして作ったのが始まりで、それが全国に広まったと言われています。

東京の外で有名なのは長野の善光寺京都の清水寺の参道でその土地独自の七味唐辛子が生れました。

ちなみに薬研堀は名前の通り医者や薬問屋が多かったそうです。

七味唐辛子の原料は、
東京は、赤唐辛子(生)、赤唐辛子(焙煎)、粉山椒、黒胡麻、陳皮、ケシの実、麻の実で、
長野は 赤唐辛子(乾燥)、生姜、粉山椒、黒胡麻、陳皮、青紫蘇、麻の実で、
京都は、赤唐辛子(乾燥)、青海苔、粉山椒、黒胡麻、白胡麻、紫蘇、麻の実だそうです。

七味唐辛子使われる主な生薬が東洋医学的にどのような働きがあるかみてみましょう。

食物名四気五味帰経効能適応症
唐辛子辛、熱心、脾温中散寒、健脾消食寒滞腹痛、食欲不振
山椒
(サンショウ)
辛、温、小毒脾、胃、腎、肺温中散寒、燥湿除痺、温経止痛、殺虫脾胃寒証の疼痛、嘔吐、下痢、リウマチ、生理痛、寄生虫による腹痛
黒胡麻
(クロゴマ)
甘、平肝、腎滋補肝腎、潤燥滑腸、養血益精肝腎不足、精血キ損の白髪、めまい、空咳、便秘
陳皮辛、苦、温脾、肺理気調中、健脾燥湿化痰脾胃気滞、湿阻中焦による胸悶、ゲップ、吐き気、嘔吐、食欲不振、大便不調
ケシの実酸、渋、平肺、大腸、腎斂肺止咳、渋腸止瀉、止痛慢性咳嗽、下痢、筋肉痛、関節痛
麻の実甘、平脾、胃、大腸潤腸通便、滋養補虚腸燥便秘
生姜
(ショウガ)
辛、微温肺、脾発汗解表、温胃止嘔、温肺止咳、魚介類の中毒の解毒風寒カゼ、咳、胃寒嘔吐、中毒(魚・カニ・半夏・天南星)
紫蘇
(シソ)
辛、温肺、脾発表散寒、行気寛中、魚介類の中毒の解毒風寒カゼ、咳、脾胃気滞、嘔吐、胸悶、魚やカニの中毒
白胡麻
(シロゴマ)
甘、寒肺、脾、大腸清熱滑腸、行気通脈皮膚の乾燥、めまい、便秘、筋肉無力、痰、赤み、頭通

全体を通してみてみると、身体を温め、カゼや咳に効果のあるものが多いので、温かいそばやうどんに七味唐辛子をかけて食べるのはカゼ気味のときによいです。

七味唐辛子という身近なものにも東洋医学の知恵が使われているというのは面白いですね。

用語解説

※「四気五味」:その食べ物の持っている性質のこと。

※「帰経」:その食べ物が働く場所のこと。

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参考文献およびその他薬膳・東洋医学関連書籍
実用 中医薬膳学基本としくみがよくわかる
東洋医学の教科書
薬膳素材辞典
―健康に役立つ食薬の知識
辰 巳洋著平馬 直樹、浅川 要、辰巳 洋監修辰巳 洋編集
東洋学術出版社ナツメ社源草社

蓬莱山(2014年11月)

蓬莱山は中国の伝説で仙人が住むという想像上の山で中国の東の海上にあるとされています。

中国の東の海上にあるというこで、台湾だという説や日本だという説があり、始皇帝の命を受けた徐福が蓬莱山を探して日本にたどり着いた徐福の伝説が日本各地にあります。

ちなみに、滋賀県に蓬莱山という名前の山が実際にあります。

比良山地中部に属する山で、蓬莱山が仙人が住む霊山、比良山地も修験者の霊山であったことに由来するとされています。

ところで、蓬莱山はどんなところで仙人はどんな暮らしをしていたのでしょうか?

実は蓬莱山の「蓬」の字は、「よもぎ」です。

「よもぎ」の漢字は「蓬」の他、「艾」や「蒿」という字もあります。

「莱」は雑草の名、「あかざ・藜」のことで、茎は杖や夜燃やして明かりにし、若葉は食用にしました。

「莱」の字は、粗末なものつまらないものの意味に使われることが多く、仙人の暮らしは質素なものだったのでしょう。

また「よもぎ」は薬草としてもよく使われ、仙人は東洋医学に精通していることを表しているのでしょう。

そんななか、きっと「もぐさ」でお灸をしていたに違いません。(笑)

(※お灸のもぐさは、よもぎから作られます)

「よもぎ」の字が、中国の伝説で仙人が住むという想像上の山の名前に使われているというのも面白いですね。

秋の食べ物(2014年10月)

今回は秋の食べ物を考えてみました。

秋の食べ物で、個人的にぱっと浮かぶのは、さけ、かぼちゃ、ぎんなん、じゃがいもでしょうか。

今回もそれらの食べ物を『中医薬膳学』(辰巳洋著、東洋学術出版社)で現代中医学的に調べてみました。

食物名四気五味帰経効能適応症
さけ甘、温脾、胃清熱解暑、除煩止渇、利尿気血虚弱、胃痛、食欲不振、疲労、眩暈、浮腫など
かぼちゃ甘、温脾、胃補気、健脾脾気虚、悪心、嘔吐、潰瘍、便秘など
ぎんなん甘、苦、渋、平、小毒肺、腎斂肺定喘、収斂止帯慢性咳喘、帯下、遺精、頻尿、血便など
じゃがいも甘、平胃、大腸補気健脾脾気虚、悪心、嘔吐、便秘など

これらの秋の食べ物は、脾胃を助け気を補うものが多いですね。

用語解説

※「四気五味」:その食べ物の持っている性質のこと。

※「帰経」:その食べ物が働く場所のこと。

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参考文献およびその他薬膳・東洋医学関連書籍
実用 中医薬膳学基本としくみがよくわかる
東洋医学の教科書
薬膳素材辞典
―健康に役立つ食薬の知識
辰 巳洋著平馬 直樹、浅川 要、辰巳 洋監修辰巳 洋編集
東洋学術出版社ナツメ社源草社

秋は燥邪と肺の臓にご注意を(2014年9月)

お盆を過ぎて、札幌は秋らしくなってきました。

秋は六気(風・寒・暑・湿・燥・火)では燥の影響を受けやすい季節であり、五臓では肺の臓の季節でもあります。

燥の邪の特徴としては以下のようになります。

  • 乾渋で、傷津耗液しやすい(乾燥する働きで、体の陰(水)を減らす)
  • 肺と相応する(燥邪は肺と関係が深い、肺は乾燥に弱い)
  • 外燥と内燥がある(外燥は外的環境の乾燥で、内燥は内的環境・体のなかの陰(水)が不足している状態です)

この秋の時期は燥邪肺の臓に少し気を配って生活することがとても大事になります。

『蘭学事始』(杉田玄白著、片桐一男訳、講談社学術文庫)(2014年8月)

今回は『蘭学事始』の紹介です。

実は私は長いこと杉田玄白があまり好きになれませんでした。

というのも杉田玄白が『解体新書』を翻訳するときにそれまで東洋医学で使っていた内臓の名前を、そのまま当てはめて翻訳したからです。そのため西洋医学と東洋医学が同じ用語を使うこととなり、現代の我々が東洋医学を学ぶ上での混乱の一つにもなっています。

もちろん杉田玄白は、いい加減に内臓の名前を当てはめたわけではないので重なる意味合いの処もあるのですが、基本的に東洋医学と西洋医学では概念が異なるのです。

占いもそうですが(私は占いに関しては専門外ですが)、西洋占星術は実際の天体の状態を詳しく調べますが中国占星術はそれほどまでではありません。

それはパターン分析の道具として星を使うからで、東洋医学も同じです。

身体というブラックボックスに対して、どのようにインプットするとどのようにアウトプットが出てくるか、それを五臓六腑という道具(概念)を使ってパターンを分析したものなので、実際の内臓の状態はあまり関係がないのです。

西洋医学はそれと異なり、実際の物質としての内臓がどうなのか、というのが非常に重要になるわけです。

『蘭学事始』を読むと最初に南蛮流、オランダ流の医学の流派が出てきます。

西流外科、栗崎流外科、桂川流、カスパル流外科など外科ばかりで、西洋医学が実際の物質としての内臓を重視していたからこそ外科が発達したのだと思います。

それと比べると中国医学は外科学はあまり発達しませんでした。

つまり中国医学は、生薬やツボなどのインプットを通して身体の調子を整える内科学こそがその本質なのです。

話が大分逸れましたが、『蘭学事始』は杉田玄白が83歳のときの回顧録です。

その当時オランダ語の通訳でさえオランダ語の文章が満足に読めないような時代に、同じ志を持つ仲間と『解体新書』を翻訳する苦労や、その前後の蘭学に貢献した人々及び蘭学界の動向などについて書いたものです。

志を成し遂げる困難、それに立ち向かう熱い想いが無ければ到底成し遂げられなかったであろうことが伝わります。

本書の最後に「一滴の油」という言葉が出てきますが、池に一滴の油を落とすと、波紋のように広がりやがて池全体に広がる、そのように蘭学が世に広まった。

杉田玄白の喜びが感じられました。

夏の食べ物(2014年7月)

7月になりました。

今回は夏の食べ物を考えてみました。

夏の食べ物で、個人的にぱっと浮かぶのは、スイカ、トマト、アジ(鰺)、キュウリでしょうか。

今回もそれらの食べ物を『中医薬膳学』(辰巳洋著、東洋学術出版社)で現代中医学的に調べてみました。

食物名四気五味帰経効能
スイカ甘、寒心、胃、膀胱清熱解暑、除煩止渇、利尿
トマト甘、酸肝、脾、胃生津止渇、健胃消食
アジ(鰺)甘、温温胃和中
キュウリ甘、涼脾、胃、大腸清熱解毒、利水消腫、潤膚美容

これらの夏の食べ物は、基本的に熱を冷ましたり、胃腸を助ける働きがあるものですね。

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―健康に役立つ食薬の知識
辰 巳洋著平馬 直樹、浅川 要、辰巳 洋監修辰巳 洋編集
東洋学術出版社ナツメ社源草社

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