鍼灸師になりたい、鍼灸を勉強したい方のために

鍼灸師になりたい、鍼灸の勉強をしたいという方のために、「鍼灸とは」、「鍼灸の専門学校に入る」、「鍼灸の国家試験を受ける」、「職業として鍼灸師をめざす」、「家族や身近な人のために、鍼灸学校で東洋医学を学ぶ」、「鍼灸院や鍼灸学校とは」という観点でお話いたします。

鍼灸師になりたい

資格試験を受ける〜転職、独立、教養を身につけるために〜

長い不況の中、以前のような終身雇用の時代と違い、会社勤めをしても、安定した雇用環境を得られず、いつリストラの宣告を受けるのかと、悩んでいるかたも多くいらっしゃるのではないでしょうか。また、組織の歯車になることに嫌気がさし、充実したやりがいのある仕事を求め、独立を目指しているかたもいらっしゃることでしょう。

そのような社会情勢を受け、スキルアップのために、または転職の手段として、あるいは独立開業の礎として、多くの資格が存在し、新設され続けています。みなさんも、すでに何らかの資格試験を受験され、資格取得をされているかたも多くいらっしゃるのではないでしょうか。

一方、就職とは関係なく、生涯教育の一環として、自らの教養を身につけるために、精力的に資格試験を受けるかたも多く見受けられます。

このコーナーでは、様々な資格試験がある中で、本サイトのテーマである「鍼灸師になりたい」と考えているかたの一助になればということで、鍼灸専門学校、資格試験についてご説明したいと思います。

鍼灸とは?

東洋医学、鍼灸の本格的な説明は、「かんたん中医学」など、他の東洋医学関連コーナーをご参照いただくとして、一般的に紹介されている「鍼灸」の簡単な説明をしたいと思います。

鍼灸とは、「鍼(はり)」「灸(きゅう)」を用いて、身体の表面にある「経穴(ツボ)」に物理的な刺激を行い、「気・血・津液(水)」の流れを調整します。そのことで、人間が本来持っている自然治癒力を活性化し、現代医学で言う「血液の循環改善」を行います。

鍼灸師は、はり治療を行う場合、問診、舌診、脈診などの診断を多角度的に行い、症状、体質、経絡の状態等に応じて、はりの種類、はりを打つ場所、はりの深さなどを決めます。

日本で主に用いられるはりは、鍼管にはりを通して皮膚の上に立て、管を取り去って目的の深さまで差し込みます。これは、東洋医学簡史日本編「江戸時代初期」でもご説明したように、江戸時代に日本で発明された方法です。一般的に治療で使われているはりは、髪の毛くらいの細さで刺してもほとんど痛みがありません。その他、皮膚の上から直接刺激する小児はり(小児鍼)やローラー鍼などがあります。(※小児はり〈小児鍼〉については、「小児はり(小児鍼) 〜子どもの鍼治療について〜」という記事をご覧ください。)

きゅう治療では、体の表面のツボにもぐさ(干したヨモギの葉をもみほぐしたもの)を置き、火をつけ、その温熱刺激により治療を行います。もぐさの熱刺激を通して、人間が本来持っている自然治癒力を引き出すわけです。

東洋医学(中医学)理論を基にした鍼灸治療では、身体のバランスを整える治療を行うため、根本的な体質改善につながり、肩コリや腰痛による筋肉の痛み・コリを柔げるだけでなく、内科疾患、婦人科疾患にも適応し、からだの芯から疲れを取り除くこともできます。

現在では、鍼灸師の活躍するフィールドが広くなり、医療分野だけでなく、スポーツ、美容など活躍の場は飛躍的に拡大しつつあります。最近は、生涯続けることができる仕事として、鍼灸師を目指す女性も多く見受けられるようになりました。実際の現場でも、多くの女性鍼灸師の方々がご活躍されています。

鍼灸の専門学校に入る

数ある資格の中で、独立開業をめざすことのできる有望な国家資格として、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士などの法務関係、会計・税務関係の資格の他、医療関係では、医師、歯科医師を筆頭に、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師などと並び、有望な資格として、はり師、きゅう師の資格が注目されています。では、はり師、きゅう師になるためには、どうしたらいいのでしょうか。

福祉系の専門資格として、介護福祉士という資格があります。介護福祉士の場合、一定の期間実務経験があれば、国家試験の受験資格を得ることができます。それに対し、はり師きゅう師になるためには、鍼灸治療院などの治療院に勤めれば、はり師きゅう師の国家試験の受験資格を得ることができるかというとそうではなく、文部科学大臣が認定した学校(盲学校)または厚生労働大臣が認定した養成施設(専門学校)に入学し、規定の単位を取得した後、卒業とともに国家試験を受験し、厚生労働大臣の免許を取得しなくてはなりません。

そのため、鍼灸師をめざすみなさんは、まず鍼灸の専門学校に入学しなくてはならないわけです。医療系専門学校は、他の専門学校に比して、入学試験が難しいと言われています。一頃と比べると、新設の専門学校が増えているため、受験倍率は多少低くなっていますが、入学試験をあなどってはいけません。過去問題集などを入手し、しっかりと対策をたてましょう。

入学後は、解剖学、生理学、病理学、臨床医学総論および各論などの西洋医学の知識と、東洋医学概論、経穴学、東洋医学臨床論などの東洋医学の知識を学びます。詳細は、当サイト内でも鍼灸専門学校のリンク集を用意しておりますので、各鍼灸専門学校のサイトをご覧いただくとともに、資料を取り寄せたり、学校見学をしたりして確認しましょう。また、参考までに、「鍼灸専門学校、鍼灸院ってどんなところ?」という記事の中で、私福田が学んでいた当時のことをお話していますので、参考にしていただけると幸いです。

鍼灸の国家試験を受ける

はり師、きゅう師は独立した別の免許のため、試験も個別に行われますが、ほとんど同時に取得します。最近の傾向として、入学試験以上に国家資格の合格も難しくなっているようです。各専門学校によって、合格率にばらつきがあります。国家試験対策をどのように行っているかは、学習科目同様、各専門学校に確認してください。

試験科目をおおまかに説明すると、解剖学、生理学、病理学、衛生学、医療概論、関係法規、病理学概論、東洋医学概論、リハビリテーション医学、はり理論、きゅう理論などがあります。試験の詳細については、「財団法人東洋療法研修試験財団」をご参照ください。

職業として鍼灸師をめざす

国家試験にめでたく合格するとはり師きゅう師の免許を取得でき、法律的にはすぐに開業することが可能になります。しかし、自分自身や家族を治療するだけなら問題はないかもしれませんが、職業として鍼灸をおこなうためには、病気を診断し治療をする確かな技術が必要になります。また、患者さんと上手に対応できる能力も必要です。さらに人は人によって救われる部分があるため、その先生の人間性も大事です。つまり、治療を行うためには治療技術も含めた総合的な「人間力」ともいうべきものが求められることになります。加えて、自分で開業するにはある程度の経営能力というのも必要になります。

治療技術、人間性、経営能力を学ぶためには、鍼灸専門学校で学ぶだけでなく、専門学校卒業後も、鍼灸の勉強会に参加したり、知人・先輩・友人などから学んだり、病院や治療院に勤めることで経験も積むことも必要でしょう。できれば経験豊富な鍼灸の先生の下で修行するのが望ましいと思います。専門学校在学中に、鍼灸院や接骨院などで、働くのも勉強になると思います。

鍼灸のみで独立開業するのは実際には大変なことで、鍼灸学校を卒業してからが本当の勉強になります。専門学校卒業後、すぐに開業するなどと安易に考えず、様々な角度から勉強するとともに、開業に必要な経験を積まれることをおすすめします。

家族や身近な人のために、鍼灸学校で東洋医学を学ぶ

健康、それは誰しもが望む幸福の前提となるものです。

昨今の健康ブームにより多くの健康に関する情報が溢れていますが、その根底には西洋医学に対する不満があるからではないでしょうか。その一つは西洋医学によって効果が認めづらい病気が増えたこと、もう一つは本来は主人公であるはずの患者がいつの間にか医療システムの中から疎外されていることでしょう。3時間待ちの3分診療という事実がそれを物語っています。

健康は誰のものでもなく私たち自身のものです、私たち自身の手で健康をつかみ取っていかなければなりません。しかしながら、現在は情報が多すぎて、何が正しいのか判断しかねることが多々あります。ある人にとって良いものがすべての人に良いとは限りません。正しい判断をするためには、物差しが必要です。

東洋医学は長い年月により培われた精緻な理論体系を持っており、その任に堪えうるものであります。現代は生涯学習が勧められていますが、健康は一生のものであり、東洋医学はまさに一生涯にわたり学ぶにふさわしいものです。そしてそれは、自分自身や家族にとって素晴らしい益をもたらすことと思います。

独立開業をめざすかただけでなく、ご自身の健康を理解するために、あるいは家族の健康を守るために、あるいは家族以外の身近な人の健康を守るために、東洋医学を専門的に学ぶ意義はあるのではないかと思います。

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